展望2016

ビッグデータの2016年、IoTや人工知能との関わりは--各社の予想を総まとめ - (page 3)

Andrew Brust (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2016-01-07 06:15

 またSignalsは、「テクノロジは臨機応変なものになりつつある」と述べ、「AIが進歩し、人々がどのようにデータを扱っているかに対する理解が進むことで、ビッグデータから意味を引き出すのに必要な人間と機械の間のコラボレーションが容易になる」と説明している。果たしてこれが予想なのか、それとも単なる希望的観測なのかは疑問だが、たしかにそれこそがあるべき姿だ。機械学習とインテリジェンスを用いたデータ分析の分野が進歩したことで、手動のプロセスでアウトプットを取捨選択するという時代は終わった。

 最後に、AltiScaleの最高執行責任者(COO)Mike Maciag氏は、「Hadoopの定着に向けた業界標準の策定」という前向きな予想を提示している。 同氏はこの予想の裏付けとして、Open Data Platformイニシアチブ(ODPi)の名前を挙げ、同組織が各ベンダーのHadoopディストリビューションを標準化する取り組みを進めていることを説明している。ODPiはもともとHortonworksによって始められた取り組みで、今ではそれにAltiScale、IBM、Pivotalなどをはじめとする多くの企業が加わっている。同組織は現在、Linux Foundationの傘下にある。

人工知能の利用

 人工知能(AI)と機械学習(ML)も大きく取り上げられている。SplunkのAntani氏は、「機械学習は、分析や組織内でのイベントのエスカレーションにかかる時間を劇的に短縮するだろう」と述べている。一方で、Cloudflowerの創立者兼CEOのLucas Biewald氏は、「機械は仕事の一部を自動化してくれるが、全部ではない」と主張している。この2つの予想は、実のところ矛盾しているわけではない。しかしどちらの予想も、AIを脅威になることのないツールとして見ている点は重要だと言えるだろう。

 いずれにせよ、Biewald氏は同時に、「AIは現在の企業のビジネスモデルを大きく変えるだろう」とも述べている。同氏はさらに、「収益性があまり高くないが、大きなデータセットを所有している古い企業は、これまでよりも価値が高く、魅力的な買収対象となる可能性がある」と続けている。これは、以前は特許のポートフォリオに価値が見いだされたように、AI、ML、予測的モデリングの取り組みによって、今度は企業買収の際にデータセットに価値が見いだされる可能性があるということだ。

その他

 筆者が受け取った予測は、以上の4つの分野に当てはまるものが多いが、もちろんこれで全部ではない。クラウドやセルフサービス、フラッシュストレージ、最高データ責任者の台頭などに関する予想もあった。また、Hadoop管理者の給与や、オープンソース、オープンデータ、コンテナ技術などに関するものなど、特定のカテゴリに属さない予想も多かった。

 しかしすべての予想に共通するのは、市場は基本的なビッグデータテクノロジを当たり前のものと受け止め始めており、次世代の統合や機能、インテリジェンス、管理しやすさ、安定性などが求められ始めているということだろう。これは、顧客がテクノロジのソリューションに対して、一定のデータやアナリティクスに関する基礎的な機能を、当然のものとして要求するようになるということを意味している。そしてこれは、あらゆる組織がビッグデータに関与しようとしていることを示す兆候でもある。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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