展望2016

ビッグデータの2016年、IoTや人工知能との関わりは--各社の予想を総まとめ - (page 2)

Andrew Brust (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2016-01-07 06:15

 Splunkの最高技術責任者(CTO)Snehal Antani氏は、「産業用IoTは、資産インテリジェンス業界を根本的に破壊する」と予想している。またNimble StorageのCEOであるSuresh Vasudevan氏は、「2016年にはIoTがデータセンターを席巻する」と主張している。これが起きる可能性がないとは言えないが、IoTの技術の標準化はまったく進んでおらず、そのことがデータセンターに普及する際の障害になるだろう。DataArtが「IoT業界にとっては、各プラットフォームが市場支配を争う競争の1年になる」と述べているのも、あるいはこれが理由かもしれない。だとすれば、IoTがデータセンターを席巻するのは2017年になるのかもしれない。

 CA TechnologiesのDevOpsの専門家であるAruna Ravichandran氏は、「Bitcoinから生まれたブロックチェーンは、これがセンサとIoTのためのストレージになり得ることを示している」と述べている。筆者自身はブロックチェーンの技術にそれほど詳しくないため、この記述についてもう少し詳しく説明してほしいと同社に問い合わせた。同社からの丁寧な返信には、「このアプローチを用いたIoTデバイスは、お互いに直接、安全にトランザクションを行うことができる。(中略)このようなピアツーピアの構成を取ることで、潜在的なボトルネックや脆弱性を排除することができる」との説明があった。これで少しは意味が分かったのと同時に、図らずもセキュリティと分散処理の効率についてのIoTの技術がいかにまだ未熟であるかが明らかになった。

成熟

 このカテゴリはやや広すぎるが、多くの予想では、新しいビッグデータの機能や製品の魅力よりも、ビッグデータ製品の価値や成熟度が重要になるというテーマが掲げられていた。基本的に、価値と成熟度が向上するということは、ビッグデータプラットフォームが企業で使えるものになるということを意味している。

 PentahoのGallivan氏は、「クールなものが、実際に利用できるようになりつつある」と述べている。MapRのSchroeder氏は、「シャイニーオブジェクト症候群(新しいものが良いものに思える現象)から、基本的な価値に対する評価へ」と題して、「企業は、ビッグデータテクノロジそのものに興味を持つのではなく、ビジネスに影響を与えるソフトウェアとしての魅力を認識するようになる」と説明している。また、関連する別の項目で、同氏は「市場では品質に関する競争が起こる」として、「投資家や組織は、ビジネスモデルを頻繁に変える不安定な企業を敬遠するようになる」と述べている。

 Trifactaの製品管理担当ディレクターであるSean Ma氏は、管理のしやすさやツール整備の成熟度に着目し、「導入事例の数が増えるに従い、ベンダーは管理ツールの構築とマーケティングに力を注がざるを得なくなるだろう」と予想している。また同氏は、「それらのツールの機能の多くは(中略)エンタープライズ向けデータウェアハウス市場のツール、特にメタデータ管理やワークフローオーケストレーションのツールに似た機能を模倣する必要があるだろう」と付け加えている。これはかなり踏み込んだ予想であり、Ma氏がこの予想に自信を持っているのは、Trifactaがこの分野で何らかの製品を準備しているからかもしれない。しかし、そうでないとしても、この機能がビッグデータの世界で必要とされているのは間違いない。管理のしやすさという意味では、ビッグデータのツールは、データウェアハウスやBIのツールと同じ水準ではなく、それを超えるものが必要だ。

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