Fintechの正体

「ロボアドバイザー元年」を迎えた日本--投資をシステムにまかせる意味

瀧 俊雄

2016-12-09 07:00

 日本では2016年、自動で投資を担うロボットやシステムなどのアルゴリズム「ロボ・アドバイザー」のさまざまなサービスがスタートしました。2月にお金のデザインから「THEO」正式版、7月に「WealthNavi」、9月にマネックス・セゾン・バンガード投資銀行から「MSV LIFE」がローンチしました。エイト証券は2015年から展開していますが、独立系の会社から多くの商品が登場したことを踏まえると、今年がロボ・アドバイザー元年と言えるでしょう。

「運用型」のロボ・アドバイザーが日本にも登場

 ロボ・アドバイザーを使う業者が米国で現れ始めたのは2008年くらいでした。2011年頃から、ロボ・アドバイザーという呼び方が定着し、今では大手が参入しています。市場が成熟し、次のステップを考えているのが米国の状況です。

 ロボアドバイザーには、ポートフォリオの提案までを担う「提案型」と、文字通り運用もロボが担う「運用型」があります。提案型は大手企業にもありますが、運用型があるのは今のところベンチャーなどを中心とした独立系のみです。提案型のロボ・アドバイザーとしては、みずほにスマートフォリオというツールがあります。これはモーニングスターという企業が作成しているツールの1つで、ユーザーの回答に沿ってポートフォリオを作り、それに適したファンドを教えてくれるというものです。ただし、実際の運用は自分でする必要があります。

 日本の場合、ロボ・アドバイザーの手数料は1%程度のものが中心ですが、米国の場合は0.15〜0.89%で、電話ベースでのFPコンサルティングなど付加的なサービスの有無によって変わってきます。米国最大規模の独立系ロボ・アドバイザーであるBettermentは手数料が年率0.15%〜0.35%、第2位のWealthfrontは最初の1万ドルまでは手数料ゼロ、それ以上は一律0.25%です。

日米で違うロボ・アドバイザーへの期待値

 ロボ・アドバイザーへの期待値は、日本と米国で異なります。米国では金融危機後の2008年以降、金融機関にお金を預けておけば増えていく、という状況ではなくなりました。金融危機後の米国は中立的なチャネルに評価が行く傾向があるため、ロボの方が人より良いアドバイスをしてくれるだろうという期待値が高まったのです。米国の場合には歴史的必然がありました。

 また、米国ではもともとインデックス運用が定着していました。高い手数料を払ってアクティブな運用をしても儲かるのかということには常に懐疑の目線があり、特に若くてFacebookやGoogleのような企業に務めるエンジニアなどが、自然な選択としてロボ・アドバイザーに来たのです。


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