「情報通信白書」最新版を読む

公共ICTの現在地--「情報通信白書」を読み解く(2)

田島逸郎 2016年09月12日 07時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 2016年度の「情報通信白書、「IoT・ビッグデータ・AI~ネットワークとデータが創造する新たな価値~」を読み解く、連載の2回目である。

公共分野でのICT活用の現状と未来

 公共分野での課題については、既存のICTをさまざまなアプローチで活用して解決する試みが始まっている。既存のスマートフォンやクラウドプラットフォームの普及を踏まえたものから、実証実験レベルのものまで多くの事例が紹介されている。

 医療分野は、ICTで大きく変わる可能性のある分野である。医療や介護現場での情報共有、医療情報の分析などICTを活用できる変化は幅広いが、幾つかの事例が紹介されている。

 まず、医療情報共有のプラットフォームがいくつか提供されている。MySOSは患者自身が利用するもので、緊急連絡先、既往症、内服薬、健康診断結果などを一元的に管理できる。Joinは医療従事者向けのコミュニケーションのためのもので、テキストだけでなくCTなどの画像、映像などを送受信できる。

 専門医への遠隔での相談なども可能になる。Teamはさまざまな業種がいる介護現場で多業種間の情報共有を可能にするクラウドシステムで、地域包括ケアシステムの支援ができる。これらは実際に現場でひんぱんに利用されている事例があるほか、救急医療の「たらいまわし」などの問題の解決も期待できる。また、「Join」については実際に総医療費の削減の効果も出始めており、医療機器プログラムとしての認証を受けたことから、導入の前向きな検討が進んでいる。

(総務省)
MySOSの利用イメージ 出典:「平成28年版情報通信白書」(総務省)
(総務省)
Joinの利用イメージ 出典:「平成28年版情報通信白書」(総務省)

 患者のデータ管理に関しては、多数の関係者がパーソナルデータを利用する際にリスクやコストがかかる。これをスマートフォンとクラウドの利用によって暗号化して患者自身が管理する「PLR」(個人生活録)が提唱されている。これにより、運用コストも低くなり、多くの患者の情報が一斉に漏えいするリスクも低減できる。

(総務省)
集中管理と分散管理の比較イメージ 出典:「平成28年版情報通信白書」(総務省)

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

連載

CIO
ハードから読み解くITトレンド放談
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
研究現場から見たAI
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
内製化とユーザー体験の関係
米ZDNet編集長Larryの独り言
今週の明言
「プロジェクトマネジメント」の解き方
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
Fintechの正体
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
情報通信技術の新しい使い方
三国大洋のスクラップブック
大河原克行のエンプラ徒然
コミュニケーション
情報系システム最適化
モバイル
通信のゆくえを追う
セキュリティ
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
セキュリティの論点
ネットワークセキュリティ
スペシャル
Gartner Symposium
企業決算
ソフトウェア開発パラダイムの進化
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
CSIRT座談会--バンダイナムコや大成建設、DeNAに聞く
創造的破壊を--次世代SIer座談会
「SD-WAN」の現在
展望2017
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
さとうなおきの「週刊Azureなう」
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
中国ビジネス四方山話
より賢く活用するためのOSS最新動向
「Windows 10」法人導入の手引き
Windows Server 2003サポート終了へ秒読み
米株式動向
実践ビッグデータ
日本株展望
ベトナムでビジネス
アジアのIT
10の事情
エンタープライズトレンド
クラウドと仮想化