情報通信白書を読み解く連載の2回目。前回は30年のICT進化について一部を取り上げた。今回は年代や国際的観点でのICTの進化、2030年の予測が情報通信白書でどのように描かれているか解説する。
年代や国際的観点でのICTの進化
年代ごとのICT利活用について概観する。全体的に若い層でICTの普及が多い傾向にあるが、そうでない分野もある。この双方について特徴的な部分をピックアップする。
まず、インターネット利用率については2002年から2014年にかけて全年代で上昇したが、20代から50代までで9割を超えているのに対し60代以降では完全に普及したとは言えない。ネットショッピングについても60代以降で減少が見られる。
端末の利用については、スマートフォンが若い世代に利用されているのに対しフィーチャーフォン、PC、固定電話は高齢になるほど利用されている傾向にある。
利用しているICT端末(年代別)出典:「平成27年版情報通信白書」(総務省)
ICTサービスについては、ホームページの閲覧やメールがほぼ全世代で普及しているのに対し、動画投稿、SNS、メッセージングアプリなどについては若い世代にのみ普及している。一方で、地図情報や金融取引については歳を重ねるほど利用されている。
情報収集の手段としては、テレビについてはもともとの比率が多いこともあり世代間の差はあまり見られないが、新聞は高齢になるほど利用され、ウェブやスマートフォンでのニュースは若者が利用する傾向にある。娯楽目的での映像の視聴においては、テレビ視聴が高齢になるにつれ増えるのに対し、インターネットでの無料動画配信が若い世代に多い傾向にある。
コミュニケーションについては、個人的な雑談から重大な事柄まで、若い世代はメッセージングサービスを利用し、高齢になるほど電話やメールを利用する傾向にある。謝罪や感謝の気持ちを伝える際に、若い世代はメッセージングサービスを利用するのに対し、高齢者は手紙を用いるのが特徴的である。
ネットショッピングの利用動機については、若い世代が価格や品ぞろえ、検索性を重視するのに対し、高齢になるにつれ時間の節約、重いものを手軽に買えるという結果が出ており、世代によって別の利点がある。しかし、高齢者はセキュリティや信頼性、実店舗で見ることの優位性などを理由に利用しない傾向にあり、これは今後の課題といえる。
ネットショッピングを利用しない理由(年代別)出典:「平成27年版情報通信白書」(総務省)