「情報通信白書」に見る情報通信政策の過去、現在(2)--2030年の未来予測 - (page 2)

田島逸郎

2015-08-24 07:00

 国際的な観点では、2000年から2013年にかけて全世界で携帯電話が普及し、94.4%の普及率となっている。特にアフリカ諸国では、インフラ敷設の容易さや文字を読めない人でも利用できることから急速に普及し、モバイル送金は銀行に取って代わる送金手段になりつつある。

 また、2014年に感染が拡大したエボラ出血熱においても、正しい知識の流通に携帯電話が役立った。携帯電話産業の隆盛はアフリカ経済全体の活性化にも寄与している。


M-Pesaの仕組み
出典:「平成27年版情報通信白書」(総務省)

 アジアにおいてはスマートフォンが普及しつつある。特徴的なのが、Samsungなどの世界的なメーカーに加えて、中国なら中国の、インドならインドの端末メーカーの端末がある程度普及しているという点である。

 スマートフォンのさらなる普及に向けて、Googleが各国のメーカーと協力して新興国向けの100ドル程度のスマートフォン「Android One」を開発するなどの試みが見られる。新興国においてもスマートフォンによるメッセージングサービスは普及しつつある。電子商取引の普及は新興国の方が速い傾向にある。

 一方、インターネットは世界的にはいまだ普及段階にあり、接続料金がネックとなりアフリカでは5人に1人しかアクセスできない状況にある。これに対しGoogleやFacebookのグローバル企業で取り組みがある。

 Facebookの主導する「Internet.org」では一部の国で、Facebook、Google検索、Wikipediaなどごく一部のサイトにおいて無料でデータ通信を可能にするサービスを展開している。Googleは成層圏に気球で通信設備を構築し、幅広いインターネットアクセスを可能にする試みを2013年に始めた。

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