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「タレントマネジメント市場を作り直す」コーナーストーン飯島氏

三浦優子

2017-04-20 08:00

 コーナーストーンオンデマンドジャパンは、日本でのビジネスを本格化し、クラウドベースのタレントマネジメント(人材管理)サービスの販売を強化する。すでに日立製作所や日産自動車などがユーザーとなっているが、まず大企業をターゲットにアピールしていく方針だ。

 日本法人のカントリー・ゼネラルマネージャーである飯島淳一氏は、「ミレニアム世代のように新しい価値観をもった世代やグローバルな人材を生かすためには、従来の日本型人材管理では限界がある」と指摘。「人材不足が深刻になっていることを考えると、エグゼクティブだけでなく、全従業員のプロフィールをきちんと認識できる、新しい人事データベースが必要となる。その際に、クラウドベースで低コストに人事データベースを構築できるのが当社のソリューション」とアピールする。

 しかし、タレントマネジメントは、何回か元年が叫ばれながら、なかなか日本に定着しないジャンルのひとつ。同社はどのように日本市場での定着を目指していくのか。飯島氏に聞いた。

ミレニアム世代とグローバル化対策で変革が必要

――タレントマネジメントは、何度か「元年」といわれ、コンピュータ専門誌で特集が組まれたこともありました。しかし、その割に飛躍しないままという状況が続いている分野だと思うのですが。

 それはまさにご指摘通りです。私の役割はマーケットを作り直すことだと思っています。現在はSaaSとして定着しているクラウドのアプリケーション分野も黎明期にはASPと呼ばれていました。その時点ではブレイクせず、クラウドになってからブレイクしたように、もしかすると呼び名を新しくする方が良いのではないかとも思います。

 市場カテゴリも、従来のタレントマネジメントとは異なるものとして新しく作り直した方がよいのかもしれません。実際に日本企業にとって外的な環境が大きく変わっています。

飯島淳一氏
飯島氏は大学卒業後に日本IBMに入社。「Lotus Notes」を担当。日本オラクルで製造営業統括本部執行役員やシステム事業の執行役員を務めた。コーナーストーンには2015年11月に入社した

――外的状況がどのように変わってきたのでしょう?

 まず、ミレニアム世代と呼ばれる、新しい価値観を持った世代がビジネスパーソンとして働くようになったことです。デジタルネイティブ世代の彼らは、滅私奉公的な感覚はありません。「上が言うことには従います」とは思ってはくれません。朝は始業時間の9時に出社し、就業時間の17時になれば退社します。しかも、転職を厭いませんから、やっと戦力になった、入社から3年経った頃に転職する人も多い。

 若手従業員をきちんと戦力として育て、転職せずに定着してもらうためにはどうすればいいのか? 日本型の従来の人材管理では限界が来ているのではないかと思います。個人の能力を正当に評価し、足りないスキルがあれば教育していくという、人材を生かすためのPDCAが必要です。それを実現するのが、われわれコーナーストーンオンデマンドジャパンが提供するクラウドソリューションです。

 グローバル企業にとっては、別な理由でタレントマネジメントが不可欠です。海外企業を買収する日本企業も増えていますが、買収によって獲得した人材をきちんと生かしていかなければ、グローバルでの競争に勝つことはできません。そこで、買収した企業にはどんな人材がいて、どんな仕事を任せられるのか、きちんと把握しないとグローバル競争に勝つことはできません。

 このグローバル競争のために当社のソリューションを活用された素晴らしい事例があります。日立製作所です。半年で世界20万人の従業員が利用する研修、リーダーシップ開発プログラム、社内SNSプログラムなどを導入されました。

 人事部門でこの作業に携わったのが、当社のアドバイザリーボードメンバーになって頂いた山口岳男さんです。山口さんは、日立製作所がIBMのハードディスク事業を買収した際、IBMの藤沢工場、日立の小田原の工場をどのように統合するのか、人事担当者として経験されていました。

 買収後に必要な人材をどのように残していくのか、それには人事情報を可視化されていることが不可欠だと感じたそうです。これまでの日本の人事情報は、ブラックボックスで可視化されていませんでした。

 グローバル企業は海外の企業を買収することもあります。そういった場面で人材を生かすために、タレントマネジメントが必要だと山口さんは痛感し、2011年に日立のグローバルな人材戦略を主導する立場になった時、当時、日立のトップだった中西(宏明氏、現・取締役会長兼代表執行役)さんにタレントマネジメントの必要性を進言したそうです。

 中西さんはグローバルで戦っていくためには、買収した企業の人材をきちんと活用する必要があると考えられていたので、すぐに山口さんの進言を聞き入れました。トップ主導で進んでいったため、日立さんは半年という短期間で当社のソリューション導入が実現したのです。

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