冒頭の発言は、このコメントのエッセンスである。同社としては、クラウド事業で2020年度に450億円の売上高を目指しているようだ。勝氏が語った国内市場の読みが、その前提となっている。ただ、これまでの実績からすると、2020年度に450億円を達成するというのはかなり高いハードルのように見える。逆に言うと、IIJ GIO P2にはそれだけのポテンシャルがあるという自信の表れか。今後の動きに注目しておきたい。
「クラウド活用への顧客ニーズが多様になってきた」
(アマゾンウェブサービスジャパン 岡嵜禎 技術本部長)
アマゾンウェブサービスジャパンの岡嵜禎 技術本部長
米Amazon Web Services(AWS)の日本法人であるアマゾンウェブサービスジャパンが先頃、AWSが展開するクラウドサービスの最新動向について記者説明会を開いた。岡嵜氏の冒頭の発言はその会見で、クラウド活用への顧客ニーズについて語ったものである。
この会見は、AWSが4月中旬に米国サンフランシスコで開催した自社イベント「AWS Summit San Francisco 2017」で発表した新サービスの説明が中心だったが、ここではその前段で 岡嵜氏が語ったクラウド活用への顧客ニーズに関する話を取り上げたい。
その前に、岡嵜氏はAWSの業績が引き続き好調なことに触れた。Amazon.comが先頃発表したAWSの2017年度第1四半期(2017年1〜3月)決算は、売上高が前年同期比43%増の36億6100万ドル、営業利益が同47%増の8億9000万ドルで、売上高営業利益率は24%に。その好調ぶりもさることながら、Amazon全体から見て、売上高は1割程度だったものの、営業利益では9割を占めたことが大きなトピックとなった。
そうしたAWSの現状から見たクラウド活用への顧客ニーズについて、 岡嵜氏は「コスト削減だけでなく、最近ではデジタルトランスフォーメーションやデータセンター統合、アジリティ・開発生産性の向上、コロケーションやアウトソーシング契約の見直しなど、非常に多様になってきた」と語った。(図参照)
多様になってきたクラウド活用への顧客ニーズ
また、ビジネスの観点から、競争力のさらなる強化やイノベーションの加速に向けて、クラウドを活用するケースが増えてきていることも強調。さらに、かつてはセキュリティに対する懸念が指摘されていたクラウドだが、今では逆に、セキュリティを強化するためにクラウドへ移行するケースも増えてきていることを明らかにした。
90以上のサービス群を揃え、2016年には1017の新サービスや新機能を発表したAWS。アマゾンウェブサービスジャパンが5月30日〜6月2日の4日間、都内ホテルで開催する「AWS Summit Tokyo 2017」では、その進化と勢いぶりを見て感じることができそうだ。