Forrester Researchは、2017年の業界に影響を与える主なクラウド技術に関する予測を発表した。
クラウドコンピューティングはここ10年のIT市場において最も興味深く、かつ最も破壊的な技術だ。そしてこの技術は、少なくとも2020年までは、既存のコンピューティングモデルに大きな変革をもたらし続けるだろう。
2017年以降、大企業によるクラウドへの移行が大々的に進むようになり、クラウド市場は急速に成長すると考えられる。Forresterの予測によると、世界中の企業が、顧客とやり取りするアプリケーションだけでなく、中核業務システムのクラウドへの移行を検討するようになる結果、2017年のクラウド市場は加速的に成長していくという。同社の予測では、2015年に世界で870億ドルにすぎなかったパブリッククラウド市場は2017年に1460億ドルに達するとされている。
全体として見た場合、2017年にはクラウドの導入がさらに拡大するとともに、クラウドへの投資も大きな伸びを見せるはずだ。2017年のクラウド市場を予測するForresterのレポートでは、業界に大きな影響を与える、クラウド技術における10の変化が挙げられている。本記事ではこれらのなかから、2017年におけるクラウドのトレンドとして無視できないものを3つ選び出して紹介する。
- クラウドの利用者は、従量制の料金体系を利用する以外にも、さまざまなかたちでコストを節約するようになる。クラウドサービスの月単位での契約形態はオンデマンドやプリペイド、リザーブドキャパシティ、エンタープライズ契約(EA)など多岐にわたっており、この傾向は2017年も加速していくだろう。このため既に、組織により大きなコスト削減をもたらすクラウドコスト管理ツールの市場が盛り上がりを見せている。
- アプリケーションをオンプレミスからクラウドに移行するリフト&シフトツールの機能向上によって、クラウドへの移行がより容易になる。Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft、IBMといった大手クラウドプロバイダーによって一層多くの移行サービスが提供されるようになることで、リフト&シフトモデルがさらに現実的な選択肢になってくるはずだ。こういったツールによって大規模なアプリケーション移行を低コストで実現できるという点に目を向けた場合、2017年にはクラウドへの移行ペースがさらに加速されると考えてよいだろう。
- ハイブリッドクラウドでは依然として、ネットワークがボトルネックとなる。ハイブリッドクラウドは実現している(ただし機能に制約はある)ものの、ほとんどの企業ネットワーク環境では、ハイブリッドクラウドの管理ツールやオーケストレーションツールへのシームレスな接続を可能にするまでに長い時間が必要となるはずだ。
上述したトレンドの検討は、年明けを待たずに始めた方がよい。企業は2017年に、プライベートクラウドやSaaSに関する戦略を具現化する必要がある。このため、今すぐ始めなければならない。幹部は企業の発展に向け、ハイパーコンバージドインフラやセキュリティ、ネットワーク、コンテナといった分野で話題になっている技術革新について学んでおく必要がある。最後に、こういった分野は特化が進んでいるため、企業は自社の地域や業界にターゲットを据えたクラウドプロバイダーの検討をあらためて実施することで新たな年を迎えるべきだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。