デルが女性起業家アプリの開発支援で学んだこと - (page 2)

末岡洋子

2017-08-18 07:30

 「機械学習、データアーキテクチャなどは複雑。Pivotalの専門知識にアクセスでき、問題解決を共同で進めることができた。その結果、長期にわたって利用できる拡張性のある土台を構築できた」とRodz氏は満足顔で語る。その後、Dellに加えて、Y Combinator、United Nations Foundationなどもパートナーとして加わった。

 機能としては、メンター、リソース、イベント情報など、女性起業家が求めている情報やツールを提供する。例えば、「開発者が必要なんだけど、どうしたらいい?」「来月ロンドンに行くが、何かいいイベントやってる?」と音声で尋ねると、情報や必要な情報を持っていると思われる人を紹介してくれる。

 ファイナンス、マーケティング、戦略、法律などの分野を用意しており、位置情報を利用してイベント情報をタイムリーに知らせたり、ビジネスプラン作成などのツールも備える。登録時にある程度の入力を求められるが、あとは機械学習により使えば使うほどユーザーの特徴や求めているものを学び、精度が上がると言う。

 「女性が求めているのは、人間対人間のやり取り。メンターだったり、ピア(仲間)だったり、自分より少し上のレベルのピアだったり。しかもパーソナルなものを必要としている。しかも同じ女性起業家でもビジネスの段階、地理的な場所などにより、求めているものは異なる。求めている出会いを効率よく探せるようにしたい」とRodz氏。

 AliceはDellが作成する女性起業家育成環境に関するデータ「Women Entrepreneur Cities」を始め、多様なデータを利用している。「ニューヨークはサプライヤーのダイバーシティに取り組んでおり、女性やマイノリティーの企業との下請け契約に一定の予算をを割いている。金額にして10年で200億ドルと大きいが、この情報を知らなければ、入札することすらできない」とGore氏、Aliceはこのような”ギャップ”を埋めて行き、チャンスに関する情報をリアルタイムで得られるようにすると言う。

 Aliceは4カ月で完成し、5月はじめの「Dell EMC World」でローンチを迎えた。それから1カ月半、既にユーザーは1600人を数えると言う。Circular Boardには1万4000人の女性ユーザーがおり、Aliceのユーザー数はまだまだ増えるとみる。Rodz氏は、「4年後には400万人の女性を結びつけ、たくさんの女性起業家がAliceを使ってビジネスを大きくしてほしい」と思いを語った。

 Gore氏によると、ジェンダーを念頭に置いたAliceの開発、Circular Boardとの共同作業は、Pivotalにとっても大きな学びがあったと言う。「Pivotalのユーザーの多くはスタートアップで、男性ばかり。これまで男性ユーザーを念頭に置いてソフトウェアを設計しているが、女性が中心のAliceは学びが多かった」とGore氏はPivotalのMee氏の言葉を代弁した。


Dellの社内起業家Elizabeth Gore氏(右)とCircular Boardの創業者兼CEO、Carolyn Rodz氏(左)。売上高100万ドルに達する女性起業家はわずか2%とのこと、「この比率を少しでも高めたい」とRodz氏は語る。

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