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SAP LeonardoはSAPと顧客に何をもたらすのか?

末岡洋子

2018-01-11 11:55

 SAPがイノベーションのシステムと銘打って「SAP Leonardo」を発表してから半年あまり。SAP LeonardoはSAP、そして同社の顧客を変えているという。SAP Leonardoおよびアナリティクス担当事業戦略・執行グローバルトップのGeoff Maxwell氏に聞いた。


SAP Leonardo及びアナリティクス担当事業戦略・執行グローバルトップ Geoff Maxwell氏

ーー「SAP Leonardo」をローンチしてからこれまでの経過はどうなっているのか?顧客の反応はどうか?

 SAP Leonardoでは3つのことを目指している。1つ目は、SAPのポートフォリオにある革新的技術をデザインシンキングと組み合わせ、顧客が確実にイノベーションできるようにすること。革新的技術は機械学習、ビックデータ、IoT、ブロックチェーン、先に発表したData Hubなどがあり、これらのオーケストレーションによりイノベーションを支援する。

 2つ目は、既存のSAPシステムとの統合と統合による拡張がある。3つ目は、このようなイノベーションを高速に届けることだ。

 顧客はこれまで機械学習、ビックデータなどの技術を個々に使ってきたが、ビジネス上の成果につなげることは簡単ではない。個々の技術を一つ一つ実験するのではなく、一歩下がって自分たちがどんな崩壊(ディスラプション)をもたらそうとしているのかを考えるべきだ。

 ディスラプションは社内プロセスかもしれないし、顧客側のプロセスかもしれない。そうやって見ていくと、ほとんどの場合で必要な技術は1つではないことが分かる。例えば、機械学習は適切なデータがあり、データを蓄積する仕組み、適切な分析、ビジュアル化、そして正しい意思決定につなげる必要がある。データのガバナンスなしには実現できない。

 3つ目のイノベーションのライフサイクル高速化は、SAPの変化を示すものだ。技術が変化しており、我々も変化している。だが顧客の中には以前のように1〜2年かけて実験しているところもある。効果的に機能するためには、革新的なユースケースを顧客とSAPとで定義し、3カ月程度でアウトカム(成果)を届けなければならない。そのためには、目標を簡素化し、顧客が本当に重視しているビジネスにフォーカスを絞る必要がある。大きな機会のほんの一部かもしれないが、3カ月で実現できれば、成功したことによる機運が高まり、次のユースケースにつながる。最初に素晴らしいユースケースを短期で届けることが重要だ。

 SAP Leonardoを発表以来、世界で200社以上の顧客とSAP Leonardoについてのデザインシンキングプロセスを進めている。各社によるステージは異なるが、コミットを表明する顧客も出てきている。

 SAPはパートナーとして顧客を支援し、短期的な時間枠でアウトカムを出し、新しいイノベーションを生み出すサイクルを作り出すことができる。これまでのSAPとは異なるイメージにつながっているようだ。SAP内部にも変化があった。成功と失敗という点で、これまでとは異なる考え方をするようになった。

 スタートアップやイノベーターと呼ばれる企業はどんどん新しいサービスを導入しており、サイクルが高速化している。顧客に高速なイノベーションサイクルに持ち込むことで、競合や将来の競合に先んじることができる。

ーーSAPに対して”古参のオンプレミス”というイメージは根強い。新しいSAPのイメージをどう打ち出していく?

 SaaSの世界での競合にあたって、”新しいSAP”が重要になっている。SAPはクラウド、SaaSネイティブではないが、SAP Cloud Platformなどのベースとなる要素がある。顧客はまず小規模で迅速に受け入れ、その後スケールアップのメリットを得られる。

 SAPと業務アプリケーション市場を崩壊しようとするベンダーとの違いとして、SAPはエンタープライズに対応でき、グローバルにスケールアップできるという点を挙げたい。もちろん、SAPは変わらなければならないが、我々は創業から常に変化してきた。顧客はSAPと作業することで、適切な価格帯で迅速にアウトカムを得られる。SAPを選べばスケールアップも安心してできる。

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