内燃機関、すなわちエンジンの信頼性が高まるとともに、価格の低下がもたらされた20世紀初頭、このテクノロジーは輸送分野にとどまらず、さまざまな分野で普及し始め、水のくみ上げや、発電、工場の動力源に利用されるようになった。そして蒸気機関に代表される外燃機関の時代からあっという間に内燃機関の時代へと移行し、現代の幕が切って落とされたのだった。
提供:GARRETT RICHARDSON
センサーやエンコーダーといったコアテクノロジーの低価格化が進み、信頼性が高まるなかで、ロボティクス分野でも同様のパターンが現れつつある。そしてこれは、ロボティクスの応用事例の爆発的な増加につながっている。
そういった点で、ロボットを動かすOSは鍵となる。ROS(Robot Operating System)はロボティクス開発の土台であり、驚くほど多様なロボットの開発を可能にするオープンソースのエコシステムを作り出している。また、サードパーティーからプロプライエタリなOSも登場してきている。こうしたOSは、それなくしては実現に何年もの期間が必要になるような、ロボティクスのさまざまな応用を可能にしている。
OSは、多様なロボティクスプラットフォームの構築に不可欠な、言うなればLEGOブロックの極めて重要な1ピースとなっている。
カリフォルニア州サンディエゴに拠点を置く人工知能(AI)企業Brain Corpを見れば、OSがいかにして同分野での迅速な開発を加速させる拡張可能な基盤テクノロジーとなっているのかが分かるはずだ。Brain Corpは、自律移動ロボット(AMR)の製造や配備に用いられる商用OS「BrainOS」の開発元だ。このテクノロジーは当初、床掃除用ロボットのために開発され、現在ではTennantやMinuteman International、ICE、ソフトバンクロボティクスなどが提供する床掃除用ロボットに搭載されている。
しかし、床掃除用ロボットにオフィス内を安全に行き来できる力を与えるシステムは、その他のさまざまな自律移動ロボットにも同様の力を与えられる。これこそ、今起こっていることだ。BrainOSは現在、倉庫向けの運搬ロボットにも搭載されるようになっている。
さまざまな大きさのカートをけん引するこの運搬ロボットは例えば、食料品店で在庫をいろいろな場所に移動させるために利用できる。自動化されたこの運搬ソリューションは、倉庫や工場に加えて、商用施設や小売施設向けにもカスタマイズ可能だ。
Brain Corpの新製品開発担当シニアバイスプレジデントであるJohn Black氏は「床掃除分野から運搬分野に向けたこの計画的拡張によって、BrainOSは自律移動ロボットの開発における業界標準になるための道を開いた」と述べるとともに、「ABI Researchによって世界トップの自律ソリューションプロバイダーに挙げられている当社のBrainOSと、そのフォームファクターの持つ可能性、応用に向けた柔軟性は、『AutoDelivery』の披露を通じて十分に示されている」と述べている。
朝食の用意をしたり、子どもの学校への送り迎えをするようなロボットはまだ家庭に普及していないものの、現在軌道に乗りつつあるロボット革命の中核にはこうした柔軟性がある。
Brain Corpの共同創業者であり、最高経営責任者(CEO)でもあるEugene Izhikevich氏は「BrainOSが異なったフォームファクターに組み込まれるだけでなく、床掃除用以外のまったく新たな業界で採用されることで、このプラットフォームの堅牢性や拡張性がさらに証明される」と述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。