MicrosoftのAzure担当最高技術責任者(CTO)であるMark Russinovich氏は2015年10月に、「『Microsoft Azure』上では4台に1台が『Linux』を稼働させている」と述べた。2017年には、Azureで動作している仮想マシン(VM)の40%がLinuxベースであることを明らかにした。2018年9月には、MicrosoftのエグゼクティブバイスプレジデントのScott Guthrie氏が、「Azure VMのおよそ半数でLinuxが稼働している」とインタビューで述べた。そして今度は、Linuxのセキュリティー関連のメーリングリストにMicrosoftを加えてもらうよう依頼する要請文の中で、MicrosoftのLinuxカーネル開発者であるSasha Levin氏が、「当社のクラウド上ではLinuxの利用がWindowsを上回った」ことを明らかにした。
企業のコンピューティング環境では、社内サーバーであれ、クラウド上であれ、その多くでLinuxが稼働している。IDCが2017年を対象に実施した、世界のオペレーティングシステムおよびサブシステムの市場シェアに関する調査によると、Linuxは市場の68%を占めていた。そしてそれ以来、Linuxシェアは増加の一途をたどっている。
つまり、Azure上でもLinuxが優勢になるのも時間の問題だった。Guthrie氏が9月に語っているように、「Linuxは毎月増えている」。
Linuxを導入しているのは、Azureの顧客だけではない。Guthrie氏は以前、「ネイティブのAzureサービスも、Linuxで動作していることが多い。またMicrosoftは今まで以上に、そうしたサービスを開発している。例えばAzureのソフトウェア定義ネットワーク(SDN)は、Linuxをベースにしている」と説明していた。
Microsoftを含め、誰もがLinuxやオープンソースソフトウェアに移行しているのはなぜか。Guthrie氏によれば、「10年以上前に、ASP.NETをオープンソース化したのが発端だ。オープンソースによって、あらゆる開発者がメリットを得られると判断した。(オープンソースは)あればなお良いものではなく、不可欠なものだ。単なるコードだけではなく、コミュニティーでもある」。
Microsoftの元最高経営責任者(CEO)のSteve Ballmer氏はかつて、「Linuxはガンだ」と述べていたが、今はLinuxのファンだという。
現在Azure上では、少なくとも8つのLinuxディストリビューションの動作が保証されている。それには、Microsoft独自の「Azure Sphere」は含まれていない。これはエッジデバイスのセキュリティを確保するために設計されたソフトウェアとハードウェアから成るスタックだ。MicrosoftのプレジデントBrad Smith氏が「カスタム版Linuxカーネル」と呼ぶ、独自のカーネルを搭載している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。