また1年が終わろうとしている。この記事では例年通り、過去12カ月間のエンタープライズをはじめとするテクノロジー市場を形作ってきたトレンドについて振り返ってみることにしたい。今回は、各国のZDNetの編集者で議論して、2019年を代表する6つのテクノロジーを選んだ。集まった編集者は、TechRepublicのBill Detwiler、ZDNetのLarry Dignan、Chris Duckett、Steve Rangerだ。
それでは早速、2019年に大きな影響を与えたテクノロジーのリストを紹介しよう。
クラウドコンピューティング:マルチクラウドが新たな規範に
2019年の初めには、マルチクラウドは現実的ではなく、どちらかといえば理論的な話だった。もちろん、クラウドベンダー側にとっては、顧客に自社のIaaSだけを使ってもらう方が望ましいだろうが、企業側はもう少し柔軟にクラウドサービスを利用したいと考えている。その結果マルチクラウドは、アーキテクチャーの流行として、ハイブリッドクラウドよりも話題の中心となる場面があった。2019年も終わろうとしている今、IT業界の状況がマルチクラウドのユートピアに近づいているのかどうかはよく分からない。しかし、Dell Technologiesが自社のクラウドプラットフォームの中心にVMwareを据えたことや、IBMのRed Hat買収、アナリティクスや人工知能(AI)のワークロードに関して、3大クラウドプロバイダーの間で健全な競争が行われているといったことは、マルチクラウドにプラスになっている。2019年は、マルチクラウドの構成要素が出そろった年になったと言っていいだろう。クラウド市場は他の面でも、途方もないペースで発展している。Amazon Web Services(AWS)は競争力のあるプロセッサーを開発して自社のインフラで利用しており、Microsoft Azureは2番手の地位を盤石にした。またGoogle Cloud Platformは、最高経営責任者(CEO)Thomas Kurian氏の指揮下で販売力を強めつつある。
5G:徐々に近づく高速通信の未来
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5G技術は、4Gの10~100倍の通信速度、超低遅延、既存のネットワークよりもはるかに多くのデバイスをインターネットに接続する能力を提供できることになっている。5Gの次世代モバイルネットワークはビジネスを変え、自動運転車や、モノのインターネット(IoT)、エッジコンピューティング、データアナリティクス、遠隔医療などのテクノロジーの進化を後押しする。各キャリアは、2018年末頃から始まった商用5Gネットワークの展開を、2019年中に徐々に加速してきており、端末メーカーは最初の5G対応スマートフォンを発表した。