「AWS、マイクロソフト、グーグルの2020年--主要クラウド動向(1)」「ハイブリッド/マルチクラウドで躍進狙うIBMやヴイエムウェア--2020年の主要クラウド動向(2)」に続き、「2020年の主要クラウド動向(3)--多様化するSaaS市場とセールスフォース、オラクル、SAPなど」をお届けする。
SaaS
SaaSはクラウド市場で最大の売上高を誇ると見込まれている。Gartnerの予測によると、2020年における売上高はIaaSが500億ドル(約5兆4400億円)であるのに対して、SaaSは1160億ドル(約12兆6200億円)になるという。
大手企業で現実となっている状況をいくつか挙げておきたい。まず、Salesforce製品が使用されている可能性が高い。そして、OracleやSAPの製品も使用されているだろう。これらの他に、WorkdayやAdobeの製品も含まれているかもしれない。以下では、これら5社とその製品を採り上げる。また、ここまでで採り上げた企業のなかにもSaaSベンダーが含まれている点にも言及しておく必要があるだろう。Microsoftの「Dynamics」と「Office」は、サービスとして提供される場合が多いソフトウェア製品だ。ソフトウェアプロバイダーの選択肢は、かつてないほど多様になっている。
以下では大手のクラウドソフトウェアベンダーに目を向ける。
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Salesforce
力強さを増している大手SaaSプロバイダー
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Salesforceの目標は、各企業の顧客データという世界で中心的な地位を占めることだ。
Salesforceが目指すところは明快だ。同社は、顧客がそのデータを活用してパーソナライズされたエクスペリエンスを提供できるようにするとともに、自社のクラウド製品を販売したいと考えているほか、「Salesforce Customer 360」という取り組みをIT世界の中心に据えたいと望んでいる。
Salesforceは「Dreamforce 2019」で、2025会計年度に向けて売上高を倍増させる計画の概要を発表した。共同最高経営責任者(CEO)であるMarc Benioff氏は同カンファレンスで「われわれは、他のありとあらゆる大手企業と提携し、一連のパートナーシップを培おうと取り組んでいる」と述べ、「あなたがたがSalesforce製品以外を使用しているのはわれわれも認識しているため、われわれはあらゆる企業と連携することに尽力する。われわれの間に垣根を作るつもりはない(中略)われわれは1つのコミュニティーとして操業していく」と続けた。
同社は実際のところ、顧客データに関係するエンタープライズスタック全体を作り上げるために買収や開発を進めてきている。アナリティクスを手がけるTableau Softwareの買収は、同社が広範な地歩を固めていることから、Salesforceにとって市場へのリーチを広げる手段になるという点で将来性を感じさせるものとなっている。