Salesforceは長年にわたって、同社のクラウドサービスを中心として発展したエコシステムを売りにしてきた。しかし「Dreamforce 2019」での同社は、新しい仕事やワークフローの創出を後押しするだけでなく、既存のビジネスバリューを同社の周囲に集めようとしているという印象を与えた。
Salesforceの最高経営責任者(CEO)Marc Benioff氏は、基調講演で「私たちはコミュニティとして、すべてのパートナーを引き込もうとしている」と語った。同氏はこの話をするとき、Salesforceを中心として、その周囲に大手IT企業(具体的には、Microsoft、Apple、AWS、Google、IBM、HPE、Cisco、Dell、Alibaba)の名前を配置したスライドを示した。
「わが社はあらゆる大手IT企業とパートナーシップを結んでおり、関係性を築こうとしている」と同氏は言う。「わが社は、顧客がSalesforce以外の技術を使っていることを知っているし、どんな企業とも協力していくと約束する。私たちはパートナーの間に境界を作らない。(中略)1つのコミュニティとしてサービスを提供していく」
あらゆる企業と協力するというのは言いすぎかもしれない。実際、Salesforceの共同CEOであるKeith Block氏は、サンフランシスコの野球場である「Oracle Park」で開催されたDreamforceのイベントの1つに言及する際、「Oracle」という名前に触れさえせず、「以前AT&T Parkと呼ばれていた球場」で開催されるとしか言わなかった。
それでも、G2のアプリケーション調査担当バイスプレジデントRobert Mahowald氏は米ZDNetに対し、次のように述べている。「Salesforceは今や売上高170億ドル規模の企業で、多くの業界で強い求心力を持っており、Macy'sやShellなどをはじめとする多くの大手企業を顧客に抱えているため、あらゆるテクノロジーを結びつける原動力になり得る。これは同社以外のテクノロジーも含めての話だ」
2020会計年度に約170億ドル(約1兆8600億円)規模の売上高を上げる見通しである同社は、アナリスト向けのセッションで、2024年の売上高をその倍の340億ドル~350億ドルまで伸ばすと予定だと述べている。