Salesforceは1年前に、企業のサイロ化されたデータソースすべてから顧客情報を統合する顧客データプラットフォームとして「Customer 360」を発表した。そして同社は米国時間11月19日、「Customer 360 Truth」を発表した。この新サービスは、「Customer Data Platform」(CDP)のビジョンを結実させるうえで力となるはずだ。
同サービスは、MuleSoftのテクノロジーに基づく新たなデータモデル「Cloud Information Model」(CIM)を活用し、企業が顧客に関する信頼できる唯一の情報源を作り上げられるようにするものだ。
Salesforceのプラットフォーム共有サービス担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるPatrick Stokes氏は声明で、「顧客の完全なビューを持つというのは新しいアイデアではないが、実現するのが難しかった」とし、「企業はサイロ化されたデータや、分断されたアプリケーションだけでなく、複雑な、場合によっては互換性のないサービス群のパッチワークを抱えており、それらすべてを連携させる手段を有していない」と述べた。
こういった課題を乗り越えるために、SalesforceはMuleSoftのテクノロジーに目を向けた。Salesforceは2018年に、データ統合プラットフォームを手がけるMuleSoftを約65億ドル(約6800億円)で買収している。MuleSoftの有するオープンソースのモデリングテクノロジーによって、CIMの公開が可能になった。CIMは、クラウドアプリケーション間でのデータの相互運用性を標準化するオープンソースのデータモデルだ。Salesforceは、Amazon Web Services(AWS)やGenesys、The Linux FoundationのJoint Development Foundation(JDF)と連携してCIMを作り上げた。
データ統合の重要性は、あらゆる大手ビジネスソフトウェアベンダーが認めているものの、依然として極めて流動的な課題であり続けている。Microsoftは2018年、Adobe、SAPとの提携による「Open Data Initiative(ODI)」を発表している。
SalesforceはこのCIMを活用することで、新サービスを提供していく。
「Customer 360 Data Manager」は規範となるデータモデルと、各顧客に対して一意に割り当てられた「Salesforce ID」を利用する。管理者は、クリックに基づくユーザーインターフェースによって、データソース間の信頼されたコネクションを確立し、顧客プロファイルの準備や突合、整合性確保、更新を行えるようになる。
また、「Salesforce Identity for Customers」を用いることで企業は、自社のウェブサイトやEコマースストア、モバイルアプリ、コネクテッド製品すべてをまたがる単一のログイン認証を顧客に提供できるようになる。そして、これは二要素認証の提供や、顧客エンゲージメントの分析に使用することもできる。
さらに「Customer 360 Audiences」を用いることで企業は、電子メールアドレスやファーストパーティーのIDといった既知のデータとともに、ウェブサイトへの訪問やデバイスのIDといった未知のデータを横断する、統合された顧客プロファイルを構築できるようになる。その後、こうしたプロファイルから顧客セグメントや、マーケティングのエンゲージメントジャーニーを作り上げ、人工知能(AI)を活用した顧客分析を実施できるようになる。
また、「Privacy and Data Governance」により企業は、Salesforce内のすべてのデータがコンプライアンス規則に準拠することを保証するために、顧客データの利用状況やプライバシープレファレンスの収集、尊重とともに、データ分類ラベルの適用が可能になる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。