年間7200件の契約プロセスを完全電子化--ドリコムが全社展開に成功できた理由 - (page 2)

石田仁志 藤代格 (編集部)

2020-04-03 07:15

発注書だけでなくNDAの当日対応も

 その結果、契約にかかる時間が大幅に短縮。以前は契約に少なくとも3営業日、秘密保持契約(Non Disclosure Agreement:NDA)だと5営業日かかっていたものが、現在は発注書なら半日かからずその日のうちにできるようになった。NDAでも2日で、ひな形があればその日のうちに終わることもあるという。

 要員が退職した庶務担当では、増員なく従来と同じ数の契約書を処理。人件費の削減につながっているという。現場では、「プロセスが見える化されているので、誰で止まっているか、どこで滞留しているかわかる」(小林氏)と生産性向上の効果も得られている。

 また、契約の現場から庶務、法務、相手に送るという流れの中で、「紙にはんこを押してもらうスタンプラリー状態の手間がなくなり、押印する側、される側ともに社内にいる必要がなくなった。新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で従来であれば止まっていた発注書の作成、チェックという業務が家でできているのは大きい」(小林氏)と、昨今の情勢に合わせた働き方にも役立っていると語る。

経営企画部が第三者として推進

 導入時期は2019年2月で、システムの検討からトライアル、社内決済から導入までを正味1カ月程度という短期間で達成。その上で、1年間運用して効果も出ている。

 今回のシステム導入の成功理由として小林氏が挙げるのは、ベンダーであるHolmesのサポートの手厚さだ。「検討段階から専任の担当者がつき、導入前後に使い方、印象管理規程や周辺業務の変更などについてしっかりとアドバイスを受けられた」と感謝の念を示す。

 それともう1つ、引き金こそ退職、休職だが、第三者である経営企画部が全社横断の課題を解決するという形で進めた点が重要なポイントとなっている。法務部門、現場、情報システム部門、いずれにしても一つの部署が主導すると部分最適になるか、横の連携が取りづらく他部門への遠慮、説得で調整に時間がかかったりすることがある。経営企画部が社内の課題として汲み上げ、第三者として各部門の上長や意思決定権者に説明、代弁、課題を共有した上での推進が大きかったのである。

 「今回のプロジェクトは、経営企画部がプロジェクトマネージャー(PM)を担当して導入した形。情シスにはセキュリティチェックやアカウント付与を担当してもらった。法務含めて色々な部署をまたぐのが契約なので、ホームズの導入は経営企画部がPMとして進めるのがクリティカルパスだと思う」(小林氏)

 今後は、各部署にホームズ担当者を置いてグループチャットで情報をシェアし、完全な定着を後押ししつつノウハウを可視化、蓄積していく計画だ。また、社内では経営企画部マターで契約領域以外の業務のペーパーレス化を進めていくほか、取引先にも契約の電子化を推奨していくとしている。

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