JavaScript誕生後の20年を生みの親ブレンダン・アイク氏らが振り返る

Liam Tung (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2020-06-23 06:30

 Chromiumベースのブラウザー開発を手がけるBraveの最高経営責任者(CEO)Brendan Eich氏は、JavaScriptの中核デザイナーとしても知られている。その同氏の手によって、「Mosaic」から「Internet Explorer」(IE)、そして「Google Chrome」に至るまでのウェブブラウザーにおけるJavaScript誕生後の20年をまとめた文書が公開された。


JavaScriptの生みの親であるBrendan Eich氏は「疑い深い人々がSunでは大勢を占めており、Netscapeでも過半数を占めていた。彼らはよりシンプルなスクリプティング言語の必要性を疑問視していた」と述べている。
提供:TED/YouTube

 JavaScriptは、ウェブやブラウザー向けの最も頼れるプログラミング言語となっており、ネイティブなモバイルアプリやデスクトップアプリでも採用されるケースが増えている。

 ウェブアプリを開発する上でJavaScriptの知識は必須と言えるだろう。同言語はJavaや、機械学習(ML)の台頭によって普及してきているPythonとともに3大人気プログラミング言語に数えられている。

 JavaScriptは1995年に生み出され、ウェブとともに、MicrosoftやMozilla、Netscape、Oracleの影響を受けながら遠く曲がりくねった道のりを歩んできている。その最初の20年の歴史について、「Firefox」を開発するMozillaの共同設立者でもあるEich氏と、JavaScriptの標準規格であるECMAScriptの仕様をまとめ上げたAllen Wirfs-Brock氏が文書として公開した。

 この文書は3月に脱稿し、コンピューターサイエンス分野における世界最大規模の学会である米計算機学会(ACM)の機関誌「ACM Journal」の6月エディションで公開された。同エディションでは、JavaScriptのほか、C++やF#、Fortran、Objective-C、Clojureといった主要プログラミング言語の歴史も振り返っている。

 同文書にはJavaScriptの進化のほか、ウェブ黎明期の重要人物についてや、現代のウェブの主流となっているChromiumベースのブラウザー(Chromiumベースの「Microsoft Edge」、いわゆる「Chredge」ブラウザーも今や含まれている)が生み出された経緯についても記されている。

 なおこの文書は、1995年にNetscapeに加わったEich氏の視点で記されている。同氏はその後、JavaScriptの前身とも言える「Mocha」を開発した。

 また、ウェブの父であるTim Berners-Lee氏や、世界初のブラウザーであるMosaicの共同開発者でありNetscapeの共同創業者でもあるMarc Andreessen氏、Sun Microsystemsの共同創業者であるBill Joy氏、Microsoftの共同創業者であるBill Gates氏から同氏が得たものについても語られている。

 JavaScriptという商標はもともと、Sunによって登録されており、2010年にSunを買収Javaを手に入れたOracleが現在も権利を握っているという点は興味深い。

 JavaScriptの標準規格がECMAScriptと呼ばれ、「JavaScript」という言葉が含まれていない理由には、商標権がらみの問題もあると説明できる(Microsoftの広く普及してるTypeScriptもECMAScriptとしてサポートしている)。

 この商標はもともとSun Microsystemsによって登録され、本文書執筆時点ではOracleが保有している。これはSunからNetscapeにライセンスされ、その後Mozilla Foundationにライセンスされた。

 NetscapeとMozillaは、同言語の特定の実装を示すために「JavaScript 1.4」といった名前を使用していた。また一部の実装は、商標権の問題が発生しないよう他の名前を使用していた。

 複数の名前と、商標権の問題、Javaとの混乱があるため、昨今の多くのユーザーや著者、ツールの実装者は単にJSと呼ぶようになっており、JavaScriptのソースコードを記述したファイルに「js」という拡張子を使うのも一般的となっている。

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