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国産フル人事ERPを目指す--ワークスヒューマンインテリジェンスの安斎社長

國谷武史 (編集部)

2020-09-10 06:00

 Works Human Intelligence(以下、WHI)は、ワークスアプリケーションズから人事領域のERP(統合基幹業務システム)ソフトウェア「COMPANY」の事業を継承して2019年8月に発足、2020年7月にSAPジャパン社長などを歴任した安斎富太郎氏が、代表取締役社長最高経営責任者(CEO)に就任した。外資IT畑のキャリアが長い安斎氏に、WHIの経営に参加した理由や今後の経営方針などを尋ねた。なお、現在のワークスアプリケーションズは、会計・サプライチェーン管理(SCM)領域のERP製品を手掛ける。

--なぜWHIに参画されたのでしょうか。

 ワークスアプリケーションズ(ワークス)の存在はSAPジャパン時代から知っており、当時は日本発のソフトウェア会社として、とても勢いがあると感じていました。実は、2018年に同社の顧問を要請されました。この頃のワークスは業績がやや踊り場を迎えており、再成長のために力を貸してほしいということでした。かつての競合会社に行くということに多少考えることもありましたが、SAPジャパンを退職して4年ほど経過していましたし、やはり世界に通用する可能性を持つ日本のソフトウェア企業だと感じていましたから、再び成長するために役に立てるのであれば力を貸したいと決めたのです。

Works Human Intelligence 代表取締役社長最高経営責任者の安斎富太郎氏
Works Human Intelligence 代表取締役社長最高経営責任者の安斎富太郎氏

 まず顧問に就任し、2019年8月にワークスアプリケーションズからWHIが分割した際も引き続き顧問として2社のサポートを依頼されました。私にとってはどちらも大切な会社でしたが、悩んだ末に、WHIは経営層が若く私の経験が役に立つのではないか、そして、WHIの若い経営陣と一緒に仕事をすることで私自身も新しい発見や経験ができるのではないかと期待しました。

--WHIと現在のワークスはどのような関係にあるのでしょうか。

 基本的に株主も違いますので別々の会社です。広範なERP領域の中でワークスが1996年の創業時から手掛けていた人事のCOMPANYには20年以上の歴史があり、大企業を中心とする千数百社のお客さまの実績と支持があります。また、会計には数百社のお客さまがおり、新しいのがSCMです。それぞれの領域で製品の成熟度が違い開発サイクルも異なりますから、製品ごとにお客さまへより適切に対応して再び成長するため分社化を選びました。

 私は長年パッケージソフトウェアを手掛けてきましたが、パッケージソフトウェアとは、基本的にITに載せて業務効率を高めるために開発されています。つまり、開発はITにどううまく載せるかというITの視点になります。一方で、WHIも今のワークスも元々お客さまの業務効率を高めることを起点とする思想で作られ、IT化によってさらに効率を上げていくアプローチで開発しています。

 ワークスを外から見ていた時には分かりませんでしたが、顧問として見ると、ワークスの製品がエンドユーザーから見た業務プロセスを踏まえて、そこにITの業務プロセスを重ね合わせていくという2段階のユニークな開発姿勢であることが分かりました。つまり、WHIも現在のワークス製品も同じ開発思想を持っています。ただ、成熟度が違うので分かれてお互いに成長していくことにしました。

--経営や製品開発などにおいてWHIとワークスが連携することもあるのでしょうか。

 現在は同じ出自を持つ兄弟会社ですが、基本的にはそれぞれ成長していこうという方針でスタートしていますので、別々の会社として活動しています。ただ、200社ほどのお客さまは引き続き人事も会計もご利用いただいていますので、そこはシームレスに連携しています。とはいえ、やはり別々の会社ですから、きちんと情報管理をしなければなりません。お互いに守秘義務契約を締結した上で、それぞれの立場からお客さまにより良いサービスを提供する体制を整えています。

 もちろん今後は、ワークスがWHIとは異なる人事システムと連携していくこともあるでしょうし、WHIもワークス以外の会計システムと組むこともあると思います。お互いの成長のために、それぞれに選択していくことになります。

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