調査

世界IT支出、2021年は6.2%増--ガートナー予測

Charlie Osborne (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2021-01-26 14:19

 2021年の世界のIT支出は3兆9000億ドル(約400兆円)に達する見込みだ。新型コロナウイルスが、急速なビジネス変革を後押しする触媒の役割を果たすためだ。

 Gartnerは米国時間1月25日、世界のIT支出に関する新たな予想を発表した。同社は、2021年のIT支出は6.2%上昇すると予想しており、コロナ禍によって2020年に3.2%減少した分を補う形になりそうだ。

 同社によれば、2020年には多くの企業が、生き残るために事業の拡大や新たな技術への投資よりも既存事業の運営強化や「ミッションクリティカル」な業務への投資を優先せざるを得なかった。

 しかし現在のIT担当役員は、突然発生したリモートワークやソーシャルディスタンスの確保などの要求以外にも目を向け始めており、成長や回復に向けたIT環境の拡大に手を付けられるようになっているようだ。

 Gartnerは、2021年にはIT支出のすべての分野が成長に転じると予想している。同社は、リモートワーク環境に対するニーズが今後も続くことで、エンタープライズソフトウェア分野で「強力なリバウンド」が発生し、この分野の成長率は8.8%に及ぶと見込んでいる。また、リモートワーカーや遠隔授業で学んでいる学生たちからの需要によって、デバイス分野の支出も8%増加するという。

 同社の以前の予想では、2021年の世界的なIT支出は3兆8000億ドルと予想されていた。同社は全体的に楽観的な予想を示した一方で、世界的な支出がコロナ禍以前の2019年の水準まで戻るのは2022年になってからだとしている。ただし同社は、「多くの国はそれよりも早く回復する可能性がある」と述べている。

 また、リモートワークやハイブリッドワークへの移行は今後も続き、この分野に関連する世界のIT支出は2021年に3億3290万ドルに達すると予想されている。この数字は2020年比で4.9%の増加に相当する。

 GartnerのリサーチバイスプレジデントJohn-David Lovelock氏は、「新型コロナウイルスは多くの業界の『TechQuilibrium(=テクウィリブリアム:デジタル化の均衡点)』をシフトさせた」とコメントした。「内部プロセス、サプライチェーン、顧客とパートナーのやり取り、サービス提供などの、より高度なレベルのデジタル化が2021年に到来し、ITがビジネスを支援するものからビジネスそのものになるという変化を実現する。この2021年最大の変化は、必ずしもIT部門にどれだけの資金を与えるかではなく、IT部門にどう資金が与えられるかというものになるだろう」

 Gartnerは2020年、「2021年の戦略的テクノロジートレンドのトップ」に「挙動のインターネット(Internet of Behavior、IoB)」を挙げている。位置情報トラッキングや顔認識技術などの個人を追跡する技術を組み合わせてそのデータをつなぎ合わせ、購買行動やデバイスの利用などの人間の行動イベントと結びつけるものだ。また、顧客体験(CX)、従業員体験(EX)、ユーザー体験(UX)を組み合わせた「トータルエクスペリエンス(TX)」「プライバシー強化コンピューティング」「分散型クラウド」「場所を問わない業務運用」なども挙げられている。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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