調査

ガートナー、2020年の世界IT支出予測を引き上げ

Charlie Osborne (ZDNET.com) 翻訳校正: 矢倉美登里 吉武稔夫 (ガリレオ)

2020-07-16 14:09

 Gartnerは米国時間7月13日、世界のIT支出に関する最新の予測を発表した。IT支出は2020年に7.3%減少し、2019年の約3.8兆ドル(約410兆円)から3.5兆ドル(約370兆円)になる見込みだが、キャッシュフローの改善による回復が見込まれるという。


 5月に発表した前回の予測では、2020年のIT支出を3.4兆ドル(約360兆円)としていた。

 IT市場の主要分野であるデータセンターやエンタープライズソフトウェア、デバイス、ITサービス、通信サービスはいずれも支出が減少する見通しだ。だが、新型コロナウイルス感染症のパンデミックを他よりもややうまく切り抜ける分野もあり、エンタープライズソフトウェアとともに、ITサービスと通信サービスは比較的影響が少ない。

 デバイス分野は、支出が16.1%減少して影響が最も大きく、次いでデータセンターへの支出も10.3%減少すると予測されている。

 「企業がコロナ禍に対応して事業継続計画を実行する中で、在宅勤務によりデバイスの購入が一時的に急増したが、デバイスへの支出がすぐに2019年の水準に戻る見込みはない」(Gartner)

 企業が立ち直ろうと努力する中で、保留中のITプロジェクトの未処理案件や、パンデミックによる混乱または遅延が、営業キャッシュフローに影響すると予想される。その結果、企業の最高情報責任者(CIO)らは、多額の初期費用が必要な内製技術を選択せずに、サブスクリプションベースのサービスやクラウド技術に向かう可能性がある。

 IaaS市場は、2020年に13.4%成長して504億ドル(約5兆4000億円)規模になるとみられ、クラウドベースのビデオ会議ツールも急成長し、この1年間で支出が46.7%増加する見通しだ。

 ロックダウンの制限解除によって経済全体で予想される支出の急増ではなく、徐々に平常に戻ってキャッシュフローが次第に増加することによって、IT支出は「急速に」回復するとみられる。

 Gartnerのディスティングイッシュト・リサーチ・バイスプレジデントであるJohn-David Lovelock氏は、「企業は、パンデミック中に主な収入源を断たれ、今や時代遅れになってしまった以前どおりのプロセスには戻れない」として「新型コロナウイルス感染症により、すべての組織は、物理的体験を提供するだけではなく、創造性を発揮して何とかやって行くしかない。具体的に言うと、手持ちのキャッシュがあまりないCIOは、2020年の頭に当初考えていたよりもデジタル化を進める計画を立てるべきだ」と述べた。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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