本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回は、アビームコンサルティングが提供する健康経営ソリューション「Digital Well-Being」を取り上げる。
アビームが開発した健康経営ソリューションとは
アビームコンサルティングはこのほど、社員データと企業データの組み合わせやデジタルテクノロジーの活用によるデータドリブンな変革を推進し、健康経営を実現するソリューション「Digital Well-Being」を開発し、提供を開始した。
Digital Well-Beingは、社員データを収集して企業データと組み合わせて分析し、健康経営がもたらす経営上の効果や相関性を定量的に可視化。さらに、社員の健康状態の把握から、業績や株価といった経営視点でメリットをもたらす施策の立案、実行支援まで、企業価値向上に貢献する健康経営の実現を支援するソリューションである。
主な特徴としては、次の4つが挙げられる。
1つ目は、脳科学の知見を活用したセルフコンディショニングを行える点だ。
専用のウェブアプリケーション「Business Athlete Conditioning Level(BACL)」を通じて社員へアンケートを実施し、健康習慣(食事、運動、睡眠など)や仕事のパフォーマンス、モチベーションに関する社員データを収集。アンケートは、脳科学研究者である早稲田大学リサーチイノベーションセンター研究戦略部門 教授の枝川義邦氏の監修の下、脳科学に基づいて設計し、仕事中の脳のコンディションを問う設問の検討を進めている。
回答した社員には、独自のアルゴリズムに基づいて数値化されたコンディションやパフォーマンスの評価に加え、仕事内容に応じた脳のパフォーマンスを向上させる時間帯や脳内物質を活性化させる生活リズムなど、脳科学の知見を活用したセルフコンディショニングのためのアドバイスが配信される。
2つ目は、社員の健康が企業経営へもたらすインパクトを可視化できる点だ。
データアナリストが社員データと企業データ(財務、業績、人事などの情報)を組み合わせて分析し、健康投資対効果や生産性指標などを可視化する。また、各データや分析結果は健康経営プラットフォームの「Digital Cockpit」を通じて可視化する。
3つ目は、データドリブンな健康経営施策の立案、実施を支援する点だ。
結果を基に各領域の専門コンサルタントが、取り組むべき健康経営課題の設定、組織/事業別健康経営KPIの設定、より効果的な健康施策立案、経営戦略や事業計画への反映、施策の実行支援、効果測定の一連を支援する。
4つ目は、スマートフォンや他社ヘルスケアアプリとも提携できる点だ。
スマートフォンやデジタルデバイス、他社のヘルスケアアプリとの連携により、運動、食事、睡眠などを個別に記録できる。既に各企業が利用しているデバイスやアプリと連携させることで、企業データを組み合わせた効果検証や施策検討が早期に実現可能となり、デバイスやアプリの活用の高度化を促進する。(図1)
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健康経営はEXの重要な要素、EXは企業のDXにとって何か
アビームではDigital Well-Beingによって、「多様な業種、業界のコンサルティングサービスの提供で得た企業の経営戦略の知見やデータ分析のノウハウを生かし、社員データを健康経営データとして活用することで、データドリブン経営の推進を支援したい」とし、さらに「働き方改革で課題を抱える企業、経営戦略として健康経営に取り組む企業やESG経営に取り組む企業を対象に提案していきたい」と述べている。
なお、提供金額は企業のニーズや支援範囲により異なるが、トライアル分析を対象とした場合、300万円程度からという。