企業は通常、PCやノートPCのリプレースを可能な限り遅らせようとするものだが、Microsoftはできれば早く買い換えてほしいと考えているようだ。
Microsoftの「Surface」部門が英国の調査会社YouGovに委託して実施した調査では、企業が貸与するノートPCやタブレットで仕事をしている労働者の66%が、2020年3月頃にコロナ禍でロックダウンが始まったときと同じデバイスを使っていることが明らかになった。
MicrosoftのSurfaceチームによれば、この英国での調査結果は、企業がハイブリッドワークを導入する中、「デバイスを新しくしていないことが生産性に悪影響を与えているという懸念がある」ことを示しているという。
同社は発表文の中で、「コロナ禍以降に新しいデバイスを手に入れた従業員の3分の1以上(35%)は生産性が向上したと述べている。その一方、ほとんどの従業員は、リモートで仕事をするにあたって同じデバイスで『間に合わせている』」と述べている。
「従業員は自分たちの個別のニーズに合わせたデバイスのアップグレードを求めている。これは、一時的な措置として始まったリモートワークの体制が普通のことになったためだ。当初はコロナ禍中に在宅で働くスタッフを支援するためにデバイスを購入したが、その後は定期的なアップグレードを棚上げしてきた企業のITチームも、現在では同じことを感じている」
この調査では、新しいデバイスの調達に関して自分たちの声に耳を傾けてもらえていないと従業員が感じていることが明らかになった。調査対象の半数は、デバイスは役職のみに基づいて配布されており、通常は個人的な要件は考慮されないと考えている。個人のニーズやアクセシビリティの要件が考慮されていると感じているのは3人に1人で、現場で働く労働者に絞ればその割合は17%にとどまる。
意思決定プロセスに関しても従業員の間に困惑が見られており、10人に3人近く(29%)の従業員が、デバイスがどのように割り当てられているかはよく分からないと認めている。
Microsoftの企業に対する訴えには、いくつかの要因が絡んでいる。多くの企業は、1年の大部分をリモートワークによって乗り切った後、ハイブリッドワークに移行しつつあるが、一部の業界では、2020年にデバイスを大量に購入した後、ハードウェアの購入を停止しているとみられる。それからもちろん、「Windows 11」の登場も要因の1つだ。
Microsoftは、Windows 11のハードウェア要件が原因で企業の導入が後れを取ることはないはずだと述べているが、導入ペースはまだ比較的ゆっくりとしている。
Windows 11は10月5日からメインストリームユーザーへの提供が始まっているが、広く普及しているわけではない。一方、Windows 10のサポート期間は、2025年10月14日に終了する。
また、Windows 11では厳格な最小ハードウェア要件が導入されたため、2018年以前に購入されたPCの多くが要件を満たせない状況にあるとみられる。同社は、ユーザーが所有するPCがアップグレード可能かどうかをチェックするためのアプリである「PC正常性チェック」をリリースしている。Windows 11を入手するには、PCがTPM 2.0、4GBのRAM、64GBのストレージ、デュアルコアCPUなどを搭載している必要がある。
今回の調査は、ITに関する意思決定者1000人以上や英国の従業員多数を対象として実施された。
Strategy Analyticsは先週、2020年にリモートワークやリモート授業で活気づいていた「Chromebook」の販売の伸びが20201年第3四半期に減速したとのレポートを公開した。それでもノートPCの出荷台数は前年同期比8%増だった。ベンダーで3位に位置するDellの出荷台数は50%増となっている。企業がオフィス向けのハードウェアを購入し始めている可能性もある。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。