日立システムアンドサービスは5月13日、独EXASOLが開発したインメモリデータベース(DB)技術を搭載したデータウェアハウス(DWH)・エンジン「EXASolution」の販売代理店契約を締結、同日から販売を開始し、同製品の日本語対応版を9月1日から出荷開始することを発表した。
EXASOLが開発するEXASolutionは、独自のインメモリDB管理システム(MS)と並列処理、独自の圧縮技術を採用、従来のインメモリDBMSと比較して、データのメモリ利用率を大幅に改善しているという。
トランザクション処理システムのベンチマークを定義し、実際のシステムに近い性能指標を作成する目的で設立された非営利団体である「Transaction Processing Performance Council(TPC)」の主要ベンチマークの一つであり、DBの検索性能の指標となる「TPC-H」において、EXASolutionは100Gバイト/300Gバイト/1テラバイトの三つで世界最速という結果をはじき出しているという性能を誇る。
EXASolutionの並列処理は、高価なUNIXサーバではなく、比較的安価なx86サーバで構成。サーバを増やした分だけリニアに性能が上がるという仕組みを採ることができるとしている。
DB言語の現在の標準規格である「SQL:2003」に対応することで、EXASolutionは、ビジネスインテリジェンス(BI)システムにおけるオンライン分析処理(OnLine Analytical Processing:OLAP)エンジンを既設のものから即座に置き換えることができる。Business ObjectsやSAS、Oracleなどの主要ベンダーのBIツールにも当然対応している。
従来のBIシステムでは、夜間バッチ処理でデータをロードした後で担当者による処理を行っているが、これらの作業はいずれも時間のかかるものとなっているのが通常だ。つまりは「過去となったデータを分析し、過去となった事象をもとに業務の方向性を決めていた」(日立システムの第三事業グループプラットフォームソリューション本部本部長の西條洋氏)。これに対して、EXASolutionでは、その高速さによって「必要な時にデータをロードして、現場部門による自由な分析が即座にできる」(西條氏)、つまりはリアルタイムBIシステムをも実現できるとしている。
日立システムとしては、「所有するデータ量が500Gバイト以下のDWHのユーザー企業、業種で言えば流通や製薬、通信、運送などを対象に考えている」(同氏)。EXASolutionのライセンス費用はメモリの使用量に応じて決められる体系となっており、メモリ使用量100Gバイトまででのライセンス費用が2500万円、年間保守費用が500万円となっている。同社では今後3年間で30億円の販売を目標としている。