日本の最高情報責任者(CIO)の意識はグローバルに後れを取っていないものの、肝心の経営トップの意識はグローバルより3年遅れている――。ガートナー ジャパンでは、経営層内部でこうした意識のズレが生じているのではと分析している。
同社の調査によれば、ビジネス面でCIOに期待されている事項についてのランキングでは、「ビジネスプロセスの改善」が日本、グローバルの両方で1位になっており、日本のCIOで「ビジネスプロセスの改善」が1位になったのは今回が初めてという。またグローバルでは、「ビジネスプロセスの改善」が2005年から4年間継続して1位になっている。
同社では「ビジネスプロセスの改善」が日本で初めて1位となったことから、CIOに対する経営トップの意識が、ITの機能や業務処理サービスを提供するシステムの開発・運用担当者から全社を横ぐしに見るプロセスマネジメントの責任者に移行していると分析。また、グローバルでは2005年から「ビジネスプロセスの改善」が1位を継続していることから、日本の経営トップにおけるCIOやITへの期待の意識はグローバルと比較して3年程度遅れているとしている。
ビジネス面でCIOに期待されている事項についてのランキングの上位10項目までに、「顧客の獲得、維持、強化」「顧客との親密性を高める」など“顧客”をキーワードにした内容が3つランキングされている。このことからCIOは自社が“顧客”に選択されるような競争優位を生み出すことを期待されていることが分かる。
CIOの戦略面での優先事項に関する調査では、上位5項目まで、日本とグローバルでほぼ同じ項目がランキング。CIO自身の意識はグローバルに後れを取っていないことがうかがえる。
日本のCIOが回答したCIOの戦略面での優先事項では「ITガバナンスの改善」が1位となり、日本版SOX法施行に伴う対応への注力が表れていると同社では分析している。同じ項目はグローバルでは7位にランキングされている。
CIOが優先するテクノロジーで日本の場合、「顧客へのセールスおよびサービスのためのテクノロジー」が1位になっているが、グローバルでは10位以内にランキングされていない。また、CIOが優先するテクノロジーでグローバルでは2006年から3年連続で「ビジネスインテリジェンス」が1位となっているが、日本でも2007年の9位から2008年は3位に急浮上している。
CIOが自社の業務、自身の業務を遂行する上で注目すべき経済・社会・環境面でのトレンドに関する調査で、日本では1位に「競争のグローバル化」がランキングされているが、グローバルでは5位に。グローバルでの1位は「物価および人件費の高騰」であり、同じ項目は日本では3位になっている。