マイクロソフトがAzure上でLinuxの提供を開始した意味

Jack Wallen (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2012-06-22 07:30

 Microsoftのクラウドプラットフォームである「Windows Azure」(以下、Azure)上でLinuxがサポート、提供されるようになった。このことは、何を意味しているのだろうか?OS界の巨人であるMicrosoftはついに弱者を仲間として、そしてパートナーとして受け入れたのだろうか?筆者は以下のように捉えている。

 数週間前、Microsoftはオープンソースに特化した専門の部門を社内に設置したと発表した。その一方で筆者は先週、UEFIがLinuxの世界全体に与える可能性のある(悪)影響について、記事を執筆した。しかし、Azureクラウド上でUbuntuやCentOS、SUSE Linuxを提供するとMicrosoftが発表したという記事を目にしたことで、筆者は嬉しさのあまり、一転してMicrosoftにこれまでにない好意を感じるようになった。これによってMicrosoftは、Azure上で公式にLinux仮想マシンとホスティングフレームワークをサポートすることになる。

 そうだ、その通りだ。Azureのウェブサイトにも以下のように書かれている。

どのようなOSも利用できる。

 現在のところMicrosoft Linuxというものは存在しておらず、今後も出てくることはないだろう。しかし筆者にとって、これはある意味において大ニュースだと言える。Microsoftはこれまでも、オープンソースに対して友好的な態度をとったり、激励を送ったりしてきているが、今回の一件ではコンシューマー(Azureのコンシューマー)と開発者、そしてLinux界全体に対して以下のメッセージを伝えているのだ。

MicrosoftはLinuxを「仲間」として受け入れた。

 学校にたとえると、Windowsが教師であり、Linuxが用務員という認識はもはや過去のものとなった。両者は同格なのだ。

 資格を有し、皆の先頭に立ち、経理が得意な最高財務責任者(CFO)/最高技術責任者(CTO)/グループ訓練責任者(GTO)が額にしわを寄せて考え込む前に言っておきたい--筆者はマーケットシェアについて述べているわけではない(そんなことをするつもりはない)。リスペクトについて述べているのである。Microsoftは、Linuxに取り組んできたすべての開発者と、彼らが何年にもわたって行ってきたハードワーク(無報酬である場合もしばしばだ)をついに認めたというわけだ。

 また、こういったリスペクトはほとんどの場合において、双方向になるという点も興味深い。筆者が尊敬している知人であり、Linuxに情熱を傾けている人々の多くは、かつてのようにMicrosoftのことを悪の帝国であるとは見なしていない。もちろん、Microsoftとて完璧ではないため、良心的解釈や希望的観測が踏みにじられる場合も多くある。しかし、MicrosoftがLinuxをサポートするという現在の一連の動きは、「デメリット」よりも「メリット」の方が多そうに感じられる。こういった双方向のリスペクトによって、お互いに多大なメリットがもたらされるのだ。MicrosoftがLinux(そしてオープンソース)に対するサポートを充実させていくことで、オープンソースコミュニティはこのソフトウェア界の巨人を悩ましいものや怪物とは見なさなくなっていくのである。また、Microsoftのクラウドプラットフォーム上にLinuxを追加したことが大いなる前進であることは間違いなく、それによってLinuxが企業分野においてより大きな存在になる可能性も出てくるわけである。「双」「方」「向」なのだ。

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