Linuxディストリビューションの「SUSE Linux」が20周年を迎えた。
NovellがAttachmateに買収されて以降、SUSE LinuxはAttachmateの独立事業部門として運営されているSUSEが提供している。以前は事業のフォーカスが定まっていなかったというNovellのLinux関連事業は今、企業向けに焦点を絞って展開。SAPのインメモリデータベース「HANA」に採用されるなど、新たな展開を見せている。
openSUSE議長を務めるとともに、SUSEではインダストリ・イニシアティブ&エマージング・スタンダード/オープンソース担当ディレクターを務めるアラン・クラーク(Alan Clark)氏に、SUSEおよびSLES、openSUSEの動向を聞いた。
--直近のSUSE Linuxの動向は
アラン・クラーク氏
非常にうまくいっている。AttachmateがNovellを買収した後、事業分野を4つに分割し、SUSEも独立した事業体として事業分野の一つを構成している。
そして今年は20周年という節目の年であり、SUSEという独立した事業体として初めて迎える1年でもある。営業もマーケティングも好調で、テクノロジもエキサイティングな形になってきている。事業体が変わったことは、非常に前向きな変化だったといえる。
--旧Novell時代にはどのような課題があったのか。また、それは事業再編でどう解決したのか
具体的な課題は、フォーカスを絞り切れていないという点にあった。(Attachmateによる買収で)これが解決されたといえる。新たな事業として、顧客のニーズにより焦点を絞ることができた。
以前の旧Novellでは、アイデンティティ管理やセキュリティにもフォーカスしていたが、SUSE(という独立した事業体)ではLinuxに注力する。アイデンティティ管理やセキュリティは現在、SUSEではない部門が担当している。
顧客のニーズをLinuxという観点から厳密に検証し、SUSEの事業を「Cloud Infrastructure」「Enterprise Computing」「Integrated Systems」の3分野にフォーカスすることにした。
--個人向けのOS事業がない
今のSUSEはエンタープライズにフォーカスしている。これは変更しない。
一例を挙げると、クラウドコンピューティングの強みはLinuxであり、Linuxベースのサーバだ。また、一般のネットユーザーはさまざまなサービスを活用するようになっており、そこでも多くの場合、Linuxが関わっている。そして、スマートフォンもLinuxで稼働している。デバイスが多様化していくにつれて、Linuxサーバにますます多くの多様なデバイスがつながってくるようになるだろう。
企業はこうした変化に対応していかなければならない。新しいデバイスがますます増えるため、企業はどのようなサービスにニーズがあるのかを考える必要がある。そのため、企業向けのサーバはなくなることがないのだ。
--3つの分野の中では、特にクラウドコンピューティングに注目が集まっている
本日(取材日は6月8日)、Windows Azureに追加されたIaaS機能として、「SUSE Linux Enterprise Server 11 SP2」がLinux仮想マシンとして対応したことを発表した(「openSUSE 12.1」も対応)。
企業のIT部門は、プライベートとパブリックの両方のクラウドを使い分け、柔軟に運用したいという要望を持っているが、それに応える内容となっている。
また、SUSEにはOpenStackベースのクラウド基盤「SUSE Cloud」もある。SUSE Cloudはセキュリティと管理性を両立させている。
SUSE CloudをOpenStackベースで開発した理由はコミュニティだ。OpenStackコミュニティは、とてもオープンであり、さらに勢いがほかとは違う。最近開催されたカンファレンスには、1000人を超える開発者が参加した。