求められるのは“ベスト・オブ・ブリード”の世界
MIJS活動の最大の目玉に、技術部会の製品連携がある。これについては午後のセッションで、MIJS副理事長で技術部会部長の梅田弘之氏(システムインテグレータ社長)がこの1年あまりの取り組みを報告した。
梅田氏は講演の冒頭、「ベスト・オブ・ブリード(Best of Bleed)」という言葉を掲げた。それがMIJS誕生の時代背景だという。
「従来のソフトウェア会社は、自社のソフトウェアを機能拡張するというスイート製品を提供してきた。しかし、1社ですべてを賄うというのは、ベンダーによって得意不得意がある以上うまく行かない。そこで、これからはよい製品を組み合わせて使うベスト・オブ・ブリードが主流になる」
これまでのソフトウェアがいわば一枚岩、いわゆるモノシリックな世界であったとすれば、これからは適材適所、つまり優れたソフトウェアを疎結合する世界が受け入れられるということである。続いて梅田氏が分かりやすい例として取り上げたのは音響装置のステレオだった。
「ベスト・オブ・ブリードとして組み合わせるときにはインターフェースの統一が必要。昔は一体型のステレオが主流だったが、その後コンポ型ということでアンプ、スピーカーなどメーカーはバラバラでもインターフェースが統一されていれば、その方がいいという時代になった。これは35年前のことであるが、IT業界もこのようにインターフェースの統一が必要だという意識が高まった」
そこでMIJSという基盤で、製品連携に取り組むことになったという。梅田氏は、MIJSでは現在、(1)トランザクション連携、(2)マスタ連携、(3)共通インフラ――という3つの連携を実現しようとしていると説明している。
梅田氏は「これまでいろいろな標準規格の取り組みが進められてきたが、そのほとんどはエクスターナル(External:外界の、外部からの)な取り組みだった。しかしこれは現実的なニーズには合致していない。これに対し、MIJSはインターナル(Internal:内部の、内蔵の)な規格の標準化を進めている。このInternal連携へのニーズが高まっている」として、MIJSが進めている3つの連携作業の取り組みを説明した。
連携を基盤にSaaSも展開
MIJS技術部会の製品連携のひとつのテーマがトランザクション連携だ。これについては仕訳データの製品連携の例を示し、各アプリケーションの中央に標準規格の「仕訳トラン」を置くことで問題を解決できることを示した。さらに共通基盤については次のように説明した。