もともと紙を媒体としていた帳票だが、コンピュータの登場とともにそのデメリットが認識されるようになる。以後、帳票の電子化は少しずつ進み、いわゆる電子帳票の時代が訪れた。しかし、それで帳票をめぐるトピックスが終わったわけではない。むしろ、ここからすべてが始まったのだ。
手書きの紙帳票が抱えていた4つの課題
帳簿であり伝票である帳票は、企業でも商店でも紙に手書きするところから始まった。オリジナルの帳票を設計して印刷したものをストックするか、文具メーカーの既製品を使用して、ペンを使って記入していたのである。それしか方法がなかったから疑問も抱いていなかったのだが、コンピュータが登場した今から考えてみると、手書きの紙帳票にはさまざまなデメリットがあった。
デメリット その1:手書きの字は判読しにくい
人間の筆跡にはそれぞれ個性がある。しかもそれが母語だと、長年の使用により、つい“くせ字”になってしまう。そのため、読み間違いを犯してしまったり、読みを確認するのに時間がかかってしまったり、ということが起こりがちだった。
デメリット その2:書き損じるから紙がもったいない
人間はミスをする。それは相手が紙であってもコンピュータであっても変わりはないのだが、紙の場合は書き損じるとどうしても別の紙を使うことになる。資源保護や経費節減が重要な今日、手書きでの帳票作成は紙を無駄遣いしがちというのは事実である。
デメリット その3:作成に時間がかかり大量処理できない
人間が手で文字を記入するスピードには限りがあり、帳票作成が膨大な量に上ると非常に時間がかかる。また、効率も悪い。カーボン紙を使って複写ぐらいはできるかもしれないが、コンピュータのようにデータの再利用ができない。そのため、帳票作成のたびに基本情報から書き起こすという面倒から逃れられなかった。
デメリット その4:人間が持って運ぶ必要がある
紙は物質だ。作成した帳票は、人間が自ら持って運ぶ、FAXで送る、郵送するといった何らかの方法で物理的(光学的)に移動させなければならない。そのため、時間もかかれば、コストもかかる。
紙帳票の問題を解決するための電子帳票
こうした問題を解決する方法として登場したのが電子帳票だった。これは、今までの帳票イメージをそのまま維持しながら、あるいはまったく新しい概念で仕様を設計して、コンピュータ上でファイルとして扱うというものだ。
企業によっては、仕様だけ電子的に用意し、記入するときには印刷して使うものを電子帳票と呼んでいる場合もあるが、紙に出力してしまっては紙の帳票と同じ。ここでは、最初から最後まで電子的なファイルとして完結するものを電子帳票と考えることにする。