ダッソー・システムズは6月7日、都内で「Japan Customer Forum 2010」を開催した。顧客、パートナー向けに開催されたこのイベントに合わせ、Dassault Systèmsの社長兼CEO、Bernard Charlès氏が来日し、ZDNet Japanのインタビューに応じた。
同社は2009年10月、IBMのPLM販売事業部門を約6億ドルで買収することを発表。当時のCharlès氏は、本買収をDassault Systèmsの企業史において最大の投資であると位置付けていた。
IBMとの協力を続けるのではなく、なぜ買収というかたちで内部に組み込むのか?Charlès氏は、「IBMの事業部門を買収した理由は実にシンプルだ」と述べている。
「IBMはCATIAと、ENOVIAの一部しか販売していなかった。一方、Dassault SystèmsはDELMIA、SIMULIA、ENOVIA(いずれもPLMブランド)の残りの部分を販売していた。これは、(場合によっては)2つの契約を交わす必要があり、お客様にとって複雑な仕組みだったのだ」(Charlès氏)
こうした事情を踏まえた上で、Dassault SystèmsはIBMに買収を提案した。成功裏に進んだ背景には、「世界的な経済不況」という言葉が見え隠れする。「IBMにチーム(PLM販売事業部門)の買収を6億ドルで提案した時はちょうど景気が落ち込んでおり、合意に達しやすかったといえる。そうでなければ、IBMもなかなか応じなかったであろう」と、Charlès氏は言う。
Dassault SystèmsはIBMのPLM販売事業部門を買収する一方、同社とのパートナーシップは継続している。現在も、販売、サービス、コンサルティング、クラウドコンピューティングといった分野で協力しているという。Charlès氏は最後に、買収を振り返って次のように述べている。
「買収は、お客様にとっても、パートナーにとっても、また私たちの財務にとっても、非常に良い決断だったと考えている。昨年の景気は危機的な状況ではあったが、その中でもチャンスを逃すことはなかったということだ」(Charlès氏)