電通国際情報サービス(ISID)は2月10日、日産自動車と取引する自動車部品メーカーのうち、同社とは異なる3次元CADシステムを用いて設計業務を行っている企業に対して、設計データを納入する際の作業を省力化するシステム「NXデータ格納支援オプション」を3月上旬に発売すると発表した。同システムは、ISIDが開発、提供する3次元データ変換、配信システム「PDCubic」のオプション製品として提供される予定だ。
NXデータ格納支援オプションは、日産自動車と取引する部品メーカーのうち、シーメンスPLMソフトウェアの「NX」と並んで大きなシェアを持つダッソー・システムズの「CATIA V5」を用いて設計業務を行っている企業を対象に開発したもの。
「CATIA V5データからNXデータへの変換」「日産自動車指定のデータ属性への変換」「日産自動車指定の製品データ品質(PDQ)基準チェックおよび不合格の場合の修正」など、通常、複数のシステムにより行われる設計データの納入作業を、単一システム上の一括処理として行える機能を実装しているという。ISIDの試算によれば、NXデータ格納支援オプションの導入により、設計データ作成の作業工数を50%から80%程度削減できる見込みだとしている。
NXデータ格納支援オプションの価格は、ライセンス料が150万円(税別)。年間保守費用が30万円(税別)。別途、「NX 6.0.4 MP1Reviced Oct26」「Teamcenter 2007.1.8.1_n01」「PDCubic R3.0」「各種ASFALISモジュール」といったソフトウェアやモジュールが導入済みであることが前提となる。
自動車業界における製品開発では、ほとんどの大手自動車メーカーが3次元CADシステムを利用しており、自社の製品や業務の特性に応じたCADシステムを採用している。また、各自動車メーカーと同じ系列に属する部品メーカーでは、自動車メーカーと同一のCADシステムを導入して設計データを共有する傾向にあるという。
一方、昨今の低価格化や環境対応車の普及などを背景に、系列外の部品メーカーから部品の調達や異なる系列の企業同士が共同で技術開発を進める動きが活発になっており、系列の枠を超えた取引が増加しているという。また、各自動車メーカーは、それぞれ独自のPDQ基準を定め、各社指定のデータ属性による設計データ管理を行っている。
日産自動車は、2005年12月に車両開発用の3次元CADシステムをこれまでの米SDRCの「I-deas」からNXに移行する計画を発表し、移行作業を進めてきた。部品メーカーとの設計データ授受についても、NXのデータ形式に移行している。しかし、NX以外のCADシステムを採用している企業では、日産自動車のPDQ基準を満たし、かつ日産自動車指定のデータ属性を付加した設計データを納入するために、I-deasデータ授受時と同様大きな作業負荷がかかることが懸案となっているという。
ISIDは1990年から日産自動車における製品開発、設計業務の支援パートナーとして、CAE(Computer Aided Engineering:コンピュータによる解析)関連の技術支援を行ってきたという。さらに2000年からは、日産自動車のPDQ向上を支援するための各種ツール開発なども手掛けている。