エンタープライズ検索には特異的なニーズがある
ここでスミス氏は、企業内検索を活用する上で重要な3点ついて触れた。1点目は検索の関連性だ。さまざまな企業内情報にアクセスできたとしても、ユーザーが求める情報を導き出せないとしたらそのシステムは利用されず、業務の効率を上げることもできない。
2点目はセキュリティである。企業内情報へのアクセスを広く可能にしながら、権限を有する人だけにアクセスを許可する制約が必要となる。
そして、3点目に指摘したのはユーザビリティだ。数千万人に及ぶユーザビリティテスティングの結果、短時間で簡単に検索できるキーワード検索が好まれていることがわかったという。複雑なスキームでの検索ではなく、短時間で簡単に検索できる機能が望まれている。
「エンタープライズサーチには特異的なニーズがあると考えている。そのため、デベロッパーやパートナー企業と協働して、具体的なエンタープライズサーチの製品をさまざまな市場に投入しようとしている」とスミス氏が語るとおり、同社はOneBoxの市場投入に合わせ、デベロッパーコミュ二ティを開始した。企業は多くのインテグレーションポイントや多様なアプリケーションを抱えているため、単一のインテグレーションポイントをつくっただけでは意味がないと認識している。
デベロッパーコミュ二ティでは、OneBoxモジュールの開発を支援するため、シミュレータやSDK(ソフトウェア開発キット)、ドキュメンテーションなどのツールを開発者用に提供し、APIモジュールを利用可能にしている。また、昨年末にパートナープログラムも立ち上がり、7ヶ月経過した現在までに75のパートナー企業が参加し、現在も増加中という。
ユーザーを短時間で業務にもどすことが私たちの使命
「今日伝えたかったことは、より健康的な企業情報アクセスへの5つの処方箋だ」と語るスミス氏は、第1に、従業員と消費者とは同じ人々だと認識すべきだと指摘する。消費者の期待がそのままエンタープライズに求められ、反対にユーザーニーズが満たされない限りは採用されることはない。
2つ目の処方箋は、検索をインフラとしてではなくアプリケーションとして考えること。企業内検索では、ユーザーが簡単にかつ速やかに企業内情報にアクセスできるかにだけ注力すべきだという。
3つ目は、検索がすべての企業情報に対してのヒューマンインターフェースとなること。単一の検索から企業内の全ての情報にアクセスできるようにする必要がある。4つ目は、情報へのアクセスはシンプルかつ高速であること。そして5つ目は、簡単に使える検索フォーマットでなければならないとしている。
最後にスミス氏は、「これらを満たすことで、短時間で検索を終えて、ユーザーが本来の業務に戻れるようにすることが私たちの使命だ」と語り、講演を締めくくった。