IAサーバに特化するデルモデルの真骨頂--デル - (page 2)

インタビュー・文:別井貴志(編集部)
写真:津島隆雄

2005-04-26 10:00

--システムのコストメリットが企業のIT投資のメリットにも直結するというわけですね。

 昔は、デル自身も社内システムをスーパーコンピュータに近いメインフレームコンピュータや、UNIXをかなり使って、バックエンドでいろいろやってきました。それをこの数年間で劇的に減らして、99.9%以上をデルのIAサーバで動かすようにしました。ちょっと自慢になりますが、デルの成長のスピードというのは、創業20年という単位で見ると、どうやら人類の経済市場のなかで最も早い成長スピードのようです。20年で、年間売上高が5兆円規模を達成したというのは誰も経験したことがないそうです。その5兆円の企業が、いまだに年間5000億円から1兆円の間でさらに売上を伸ばしている。何を言いたいかというと、サイズを自慢したいわけではなく、この巨大な企業を支えるシステムの99.9%以上がIAサーバ動いているということです。

 その結果どうなったかといえば、これまですべてのIT投資のうちの70%近くを占めていたのがメンテナンスだった。新しいメインフレームやハードウェアを導入したり、バックボーンを太くしたり、新しいアプリケーション開発したり、データベースソフトを導入したりする新規投資は約30%だった。それが、自社のIAサーバに入れ替えたことで、ハードウェアの導入コストとメンテナンスコストは大幅に削減できました。そして、驚くことにそうしたらこの比率が逆転しました。とにかく、我々のこうした事実を見てほしい。いい参考資料や手本になるはずです。いろいろとミスも犯したが、レガシーシステムからスタンダードアーキテクチャのIAサーバに移行することによって、5兆円の売上げをあげる企業にまで成長できたのです。

--そうした自身の経験も活かして打ち出したのが「スケールアウト戦略」ですか。

 まさにそうです。「ラックサーバを並べてUNIXの30%の価格で倍のパフォーマンスでますよ」あるいは「30%のコストで、30%増しのパフォーマンスがでますよ」など、いろいろなホワイトペーパーのデータもあるので、そういうのを言って回っている。私もそうだし、我々はエバンジェリストだと思っている。かつては考えられないような、超巨大企業ようやく重い腰を上げて、IAサーバでやってみようかという動きが出てきている。とはいっても、メインフレームにもUNIXにもそれぞれいいところはあるので、滅びることはないだろうけど、ニッチで特殊な市場として残るだろう。しかし、一般企業はもう止めようのない流れになっています。それが、われわれが言うスケールアウトの横展開。ラックで並べてサーバーを横展開することです。これに対してスケールアップというのは、まあ例えば3億円のメインフレームを買って、次に5億円のものを買ったり、CPUを足したりとか、箱自体を大きくしていくという考え方です。

--スケールアウト戦略を実行し、支えていくためにはDPS(デルプロフェショナルサービス)をもっと強化する必要がありませんか。

 コンサルティングサービスであるDPSがここ数年大活躍した結果、顧客満足度の向上が図れたと思います。エンジニア以外でいま60人ぐらいいますが、もっと人を増やして早く3桁ぐらいにスタッフを拡充したい。あちこちで、デルのCIOのセミナーをやっています。営業の人間が行かないで、CIOが出かけていってCIO同士で本音で話しましょうというセミナーです。そこで、先に述べたデルの経験を話すのです。苦労はしましたが、IAサーバにしてこんないいことありましたよと。するとすごく盛り上がるし、セミナーに来てくれというリクエストも多い。やっぱり薄利多売で質を落としたくはないので、いろんなプロジェクトを抱え込んで、どこかのSIベンダにそれを丸投げするなんてことは自分で自分の首を絞めるのでやらない。だからこそ、人員を増やしたいのです。

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