日本国内での普及拡大を目指しつつ、世界への発信も--日本PostgreSQLユーザ会 - (page 2)

田中好伸(編集部)

2007-07-23 17:30

 MyNAの参加者から「PostgreSQLの専門家がいないので、一緒に比較検証をしませんか」という声をかけられたことで始まった性能検証会の活動を続けるなかで、片岡氏はPostgreSQLは遅いという誤解を解くことに成功している。その性能検証会の成果の一端は、3月に開催されたJPUGの沖縄支部セミナーで紹介されている(同セミナーで利用された資料がPDFファイルで公開されている関連記事=「PostgreSQLは遅い」は本当か?:OSSデータベース比較)。

 「性能検証会の活動のなかで印象的な出来事として、MyNAの方から“チューニングする人がすると、PostgreSQLの性能が違うなぁ”と言われましたね」

 JPUGの理事長である片岡氏は、性能検証会の活動も続けることで、JPUGの目的であるPostgreSQLの普及拡大を狙っているのである。

拡大するMySQLのシェア

 JPUGでは、下部組織としていくつかの分科会を抱えている。日本語での各種マニュアルやドキュメントなどの翻訳を担当する「文書・書籍関連分科会」、JPUGのウェブサイトを管理運営する「コンテンツ管理分科会」(仮称、2007年度新設)、ソースコードやドキュメントを活用してPostgreSQLの内部構造やアーキテクチャを研究する「PostgreSQLのしくみ分科会」などである。

 性能検証会では、MyNAと共同で活動を行っている片岡氏だが、PostgreSQLの普及拡大という狙いを考えると、どうしてもMySQLの拡大ぶりが気になるところであり、「ある調査によれば、日本国内のシェアを見ると、PostgreSQLとMySQLが対等になりつつあるという結果が出ている」(同氏)という。

 企業でもOSSのコンテンツ管理システム(CMS)の利用が拡大していることが背景にあるのでは、と片岡氏は見ている。というのは、CMSに組み込まれているRDBMSが「大体MySQLになっている」ために、MySQLのシェアが拡大の動きがうかがえるのである。

日本の動きに驚く海外勢

 JPUGの活動によって、PostgreSQLは企業にも利用されるようになってきているが、こうした拡大ぶりは、海外では驚きを持って迎えられているようだ。

 「1996年に誕生したPostgreSQLは、2006年に10周年を迎えました。その昨年7月にカナダで開催されたカンファレンスで、日本でのPostgreSQLの利用度合いを紹介したら、海外勢は驚いていました。というのは、PostgreSQLのシェアは世界全体ではおよそ20%とされているからです」

 また、海外勢が驚くのは、日本国内でのシェアだけではない。JPUGに協賛する企業の数にも驚くという。現在、JPUGに協賛する企業は、NECソフトや富士通、サン・マイクロシステムズなど23社に上っている(2007年度の協賛会員数から)からだ。

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