5日、日本PostgreSQLユーザ会主催の「PostgreSQLカンファレンス2007」が、秋葉原UDXにおいて開催された。今年は3トラック、計10講演と規模も拡大し、導入企業の事例から技術的な話題まで、非常にバラエティ豊かなイベントとなった。本稿ではその中から、「PostgreSQLの明日はどっちだ?!〜現状と課題と期待〜」と題するパネルディスカッションの模様をレポートしたい。
パネラーには、日本PostgreSQLユーザ会会長の片岡裕生氏、SRAOSS, Inc.取締役日本支社長の石井達男氏ら、これまでPostgreSQLコミュニティを牽引してきた重鎮に加え、スターロジックCEOの羽生章洋氏、ミュートスCTOの宗近龍一郎氏、さらにPostgreSQL開発コアメンバーJosh Berkus氏も名を連ねるといった豪華な面々。PostgreSQLの最新動向を知る最高の機会とあって、会場には多数のユーザがつめかけた。
さて、今回のテーマは「現在のPostgreSQLに不足していること」、「今後PostgreSQLに求めること」が中心だった。しかし、PostgreSQLがバージョン8.0以降、機能面・性能面ともに急速な進化を遂げたことを反映してか、ディスカッションも終始和やか、現状に対する大きな不満は殆ど提出されなかった。
PostgreSQLは、以前から「商用データベースに遜色ない」データベースシステムとして高く評価されてきたが、やはりそこには「オープンソースでありながら」とか、「フリーソフトウェアにも関わらず」といった但し書きが付けられるのが常であった。しかし、十分豊富な機能を持ち、なおかつバージョンアップ毎に性能面の改善が達成されている現状では、もはやこれらの但し書きも不要なほど、PostgreSQLは成熟したと言えるだろう。
PostgreSQL自体に対する不満が出ない分、周辺の改善に関しては各パネラーや参加者からいくつかの意見が出された。宗近氏は、高可用性を求められる分野への適用には必須となるレプリケーション技術に関して、「例えばSlony-IがPostgreSQL本体に取り込まれると便利」と語る。PostgreSQLにもPGCluster、Slony-I、pgpoolといった優れたレプリケーションのツールがあるが、本体から独立している分、MySQLのレプリケーション機能のような手軽さが無いのは事実だろう。