「WAN最適化市場でリーダーになりたかった」:Packeteer買収のBlue Coat - (page 2)

田中好伸(編集部)

2008-07-17 19:36

 (2)の高速化では、すべてのアプリケーションを対象にWAN最適化を図ろうというものだ。従来のWAN高速化では、統合されたストレージやファイルアクセス、メール、イントラネットなどのWAN内のアプリケーションの高速化に重点が置かれていたが、Blue Coatでは今後、WAN外部のアプリケーションでも高速化を図ろうとしている。

 具体的には、SaaS(Software as a Service)やクラウドコンピューティングから提供されるアプリケーションの高速化を図ろうとしているのである。また、音声会議やビデオ会議、あるいはデータセンターに設置されたシンクライアントなど、よりリアルタイム性が問われるアプリケーション・通信も含めたネットワークの最適化を進めようともしている。このアプローチには、Blue Coatが開発するProxy SGが活用される予定だ。

 (3)のセキュアという部分については、WANの内部と外部で送受信されるウェブトラフィックをリアルタイムでフィルタリングしたり、内部から悪質なウェブコンテンツへのアクセスを削減したりといったマルウェア対策などを中心に、より安全なウェブ活用を展開することを目指す。この部分でも、Blue Coatが従来から所有するセキュアウェブゲートウェイであるProxy SGを活用していく。

 こうした方針を説明するNeSmith氏は、その背景として、アプリケーション配信網で「パラダイムシフトが起きている」と語る。そのパラダイムシフトとは、さまざまなところでの変化が積み重なってできあがりつつあるものという。

 その一端が、モバイルユーザーが増加するとともに、データセンター内でサーバ統合が進められ、コンテンツ/アプリケーションの一元管理も同時並行で展開されているという状況にある。このことから、エンドユーザーとコンテンツ/アプリケーションの「“距離”が大きくなっている」(NeSmith氏)と言うことができる。

 “長距離化”とともにトラフィック量は増加し、煩雑なプロトコルも増加することで、パフォーマンスが低下するという事態を招いている。事態はこれだけではない。制御不能なトラフィックや不要なトラフィックがあることで、トラフィックが輻輳(ふくそう)が引き起こる。またアプリケーションレイヤに潜むセキュリティ攻撃によってマルウェア攻撃が増加している。さらには、拠点間でパフォーマンスが低下したり、パフォーマンスが不安定になったりといった事態により、アプリケーションを迅速に配信できないという事実も存在する。

 これらの不都合は、どんなアプリケーションが動作しているのか把握できていない、ユーザーやコンテンツについて限られた情報しかない、何がマルウェアで何がそうでないのか判断できない、ミッションクリティカルなアプリケーションを制御できない、といった原因があるからだ。これらの問題を解消するために、「アプリケーションの可視化と制御が必要だ」(NeSmith氏)という結論になるのである。

 NeSmith氏は、こうした根の深い問題を解消するために現在取られているソリューションには「限界がある」と指摘する。セキュリティを向上させるために「すべてのトラフィックを止めてしまう」(NeSmith氏)か、マルウェアなどの脅威も含めた「すべてを高速化してしまう」(同氏)かのどちらかになってしまっているという。そのように判断するNeSmith氏は、今後のソリューションで必要なのは「不要なものを止め、必要なものを高速化させる」というアプローチだと説明している。

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