Red Hat プロダクト部門 エグゼクティブバイスプレジデントのPaul Cormier氏は、「Red Hatは2003年ごろからクラウドに注力してきた」と言う。当時クラウドという言葉はなかったが、同社ではいつでもどこでもITが利用できる環境を考えており、それが今日のクラウドにつながったのだと説明する。「いままさにクラウドの波がやってきていて、これからもクラウドは進化し、次世代ITの主流となる」とCormier氏。とはいえ、ITのすべてがクラウドに置き換わるわけではなく、既存システムと共存するハイブリッド型の利用がなされるはずだと指摘する。
「重要なのは、物理環境や仮想環境、クラウド環境など、さまざまなアプリケーション稼働環境があり、そのどれででもアプリケーションを作り替えることなくシームレスに動くようにすることだ。これができることが、Red Hatのクラウドソリューションの根幹だ」(Cormier氏)
アプリケーションを利用する環境は、物理サーバ、仮想サーバ、プライベートクラウド、そしてパブリッククラウドへと順にステップアップする。「仮想サーバ環境をトータルで提供できるのは、現状ではRed HatとMicrosoft、VMwareの3社しかない。これがプライベートクラウドにステップアップすると、ミドルウェアとOSを持たないVMwareは脱落する。さらにパブリッククラウドになると、自社のソリューションに囲い込みをするMicrosoftが外れることになる」とCormier氏。Microsoftのクラウドを採用してしまうと、その企業はロックインされ、Microsoftのクラウドしか利用できなくなると言うのだ。
これに対しRed Hatのクラウドのソリューションは、「オープンソース製品を用いて展開しており、オープンなインターフェイスを提供している。当然ながらオープンスタンダードにも準拠しているので、顧客は自由にプラットホームやクラウドサービスを選択できる」とCormier氏は説明する。その結果、物理からパブリッククラウドへの移行も容易で、このことこそがRed Hatがクラウドで数多く採用されている大きな要因だという。Cormier氏は、「今後もクラウドの市場はさらに大きく拡大することが期待され、その領域でRed Hatは大きなビジネスを獲得していく」と主張した。