SAPPHIRE NOW 2013

「SAPはBtoBtoCのリーダー」とCEOが強調--HANAでビジネス変革を支援 - (page 3)

末岡洋子

2013-05-15 16:06

「BtoB取引の8割がオフライン」--ビジネス生産性を改善するAriba

 McDermott氏の次に登壇したのは、約1年前にSAPが買収発表したAribaの会長兼CEO、Robert Calderoni氏だ。SAPカンパニーとしてSAPPHIRE NOWに登場するのは初めてとなる。Calderoni氏は主に、SAPによる買収がもたらすメリットについて語った。

AribaのCEOでSAPグローバルマネージングボードを務めるRobert Calderoni氏
AribaのCEOでSAPグローバルマネージングボードを務めるRobert Calderoni氏

 Aribaは世界最大規模のビジネス(BtoB)ネットワーク「Ariba Network」を運営しており、約190カ国から100万社以上が参加して取引を行っている。Calderoni氏が強調するのは、ビジネスの生産性だ。約80%のBtoBトランザクションがオフラインで、紙や電話などを使った非効率なやり方で行われているとCalderoni氏、「企業の外でも効率化を進める必要がある」と説く。

 逆に見れば、生産性を改善する大きなチャンスがあることになる。「ビジネスネットワークを活用して、既存のITインフラとビジネスプロセスを企業の外に拡大できる。しかも、システムを気にすることはない」とCalderoni氏。Aribaは創業以来、一環してビジネスの生産性改善を目標にしてきたとも付け加えた。「生産性は企業のバリューを加速する」(Calderoni氏)

 Ariba Networkを活用することで、買い手側は1〜8%の支出削減が、売り手側には5〜32%の売り上げアップが実現できるという。このようなビジネスネットワークにより、ビジネスプロセス最適化を専門とするSAPを補完できる、と合体によるメリットを強調した。

 すでに顧客の中にはSAPとAribaの両方を利用しているところも多く、この日は顧客としてThe Walt Disney Companyの幹部が登場した。2001年にSAPを実装、2003年よりAribaを利用しており、ソーシング、調達、インボイスでSAPのソリューションとAribaを連携させることで、コスト削減、受注増などの効果を挙げているという。

サプライヤーを自動レコメンする「Ariba Recommendations」
サプライヤーを自動レコメンする「Ariba Recommendations」


 買収後、SAPとAribaは技術統合も進めており、SAPの中堅中小企業向けのERPパッケージ「Business One」と接続できるNetWeaverアダプタ、SAPのProcurementとSuccessFactorsの人材管理(Human Capital Management:HCM)ソリューションを補完するサービス購買ソリューションなどを提供している。単なる統合にとどまらず、先週には次世代のビジネスネットワークとして、ネットワーク主導のインテリジェンスを加える「Ariba Recommendations」を発表した。

 購買履歴、購買傾向やパターンなどを基にネットワークが自動的にサプライヤーを推奨する機能だ。これにより、売り手と買い手の双方がより正しい決断をリアルタイムで行えるようになるという。「15年のトランザクション関連情報をインテリジェンスに変える」とAribaのCMO、Tim Minahan氏は説明する。

 Calderoni氏はSAPとの合体により分析、モビリティ、HANAなどSAPの技術を利用することでさらにビジネスネットワークを強化できるとする。これにより、SAPの成長戦略を支援できると結んだ。

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