GC処理の平準化でレスポンスタイムの劣化を抑制
2013年のアプリケーション基盤の更新では、「コスト効率の向上」と「より高いレベルのシステム安定稼働」の2つが主なテーマになったという。そこで採用されたのが、IAサーバとWebLogic Serverの組み合わせだ。SPARCサーバをIAサーバに変更することでコスト効率を改善し、ミッションクリティカルシステムで高い実績を誇るWebLogic Serverを採用することで、システムの安定性を高めるというコンセプトである。
WebLogic Serverの導入効果として吉田氏がまず挙げたのは、WebLogic Serverが採用するJVM、JRockit Real Timeによるガベージコレクション(GC)処理の平準化だ。
「従来のシステムでは、外部プロセスを使って一定間隔でGC処理を行うなどの回避策を採っていましたが、突発的なGC処理の発生でレスポンスタイムが悪化するという現象が避けられませんでした。JRockitでは、目標停止時間を設定するだけでGC処理を細分化・平準化して実行できます。レスポンスタイムの悪化を防ぐだけでなく、チューニング作業の削減、管理性の向上、CPU使用率の削減といった効果も得られました」(吉田氏)
ちなみに、ALADINでは目標停止時間を100ミリ秒に設定しているそうだ。
JRockit Real TimeのGC処理平準化により、
突発的なレスポンスタイムの悪化を防ぐことが可能になった
もう1つ、吉田氏がWebLogic Serverの導入効果として紹介したのは、新井氏の説明にも出てきたJava Flight Recorderによるアプリケーションの可視化である。
「事象が発生してから再現テストして原因を見つけるという従来の方法では、事象の再現性が不確かで再現テスト自体が困難ということがよくありました。Flight Recorderで監視していればアプリケーションの状態を過去にさかのぼって一目で問題を特定できます」(吉田氏)
Java Flight Recoderによるアプリケーションの可視化。
どの処理がボトルネックになっているのかがひと目でわかる
今回のアプリケーション基盤の刷新は、アーキテクチャから変更するという大掛かりなものだったが、移行作業は非常にスムーズに進行し、予定していた期間の約半分で実施できたという。その原因について吉田氏は次のように語る。
「従来からJava EE、エンタープライズJavaの標準仕様でアプリケーションを組んでいたことが、スムーズに移行できた最大の要因だと思います。実際、今回の移行ではアプリケーションレイヤにはほとんど手を加えずに済みました。ユーザー企業としては、その時々で一番良い製品を採用したい。そのためには標準仕様を守ることが重要です」
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