仮想化導入により運用自動化ソフトが需要増--IDC調査

山田竜司 (編集部)

2014-07-31 15:52

 IDC Japanは国内システム/ネットワーク管理ソフトウェア市場の動向調査の結果を発表した。2013年は、前年比6.7%増の3095億6900万円、2013~2018年の年平均成長率(CAGR)は3.8%、2018年には3733億円に達すると予測する。

 2013年の市場は仮想化の導入を契機とした運用自動化に対する需要が増加し、これまでデータセンター事業者での導入が中心だった運用プロセスの自動化ツールが製造業など一般企業にも浸透していき、2012年を上回る成長率となった。

 官公庁や金融での大型案件が増加したことも市場成長に寄与した。市場構成比で約30%を占めるワークロードスケジューリング/オートメーションソフトウェア市場は前年比7.0%増と、市場成長をけん引した。当該市場の大部分を占めるジョブスケジューリングの売り上げが堅調であり、プロビジョニング自動化のような運用プロセスを自動化、最適化するソフトウェアが情報システム子会社を含む大手企業で導入が拡大した。

 加えて、大規模なサーバやネットワークの環境に対する障害イベント監視やパフォーマンス管理の刷新も増加した。4月でサポートが終了したWindows XPの移行に伴いIT資産管理ソフトの見直しや新規導入も増加し、システム変更/構成管理ソフトウェアが前年比9.8%増と好調だった。

 事業者別の売上額シェアでは、「JP1」の日立製作所と「Systemwalker」の富士通がともに24.4%で首位に並んだ。2013年に2位だった富士通は製造業や公共での大型案件の増加、仮想環境向け運用管理ソフトウェアの販売が拡大し、2013年首位の日立製作所と同等の順位となった。3位にNEC、4位にIBM、5位に野村総合研究所が続いている。6位のマイクロソフトと8位のヴイエムウェアは、自社の仮想化ソフトウェアと組み合わせて仮想環境向け管理領域で実績を伸ばし、20%以上成長した。

 2014年の国内システム/ネットワーク管理ソフトウェア市場は前年比4.3%増を見込み、2013~2018年のCAGRは3.8%を予測。仮想環境やクラウド環境に対する運用管理システムの整備が本格化し、運用プロセスの自動化を実現するソフトを中心に成長が継続するとみる。また、管理対象はオンプレミス型システムだけではなく、クラウドサービスやその上で構築されたシステムにまで拡大していくとした。

 IDCは、現在ITインフラが従来のクライアントサーバ型からクラウド型へとシフトしている過渡期にあり、同時に運用管理の対象や手法も変わろうとしていると説明。クラウドサービス形態での提供や仮想化やクラウド環境に最適化されたライセンシング、ハイブリッドクラウドでのライセンスポリシーなど、事業者は新たなソフトのビジネスモデルを構築していくことが求められると指摘している。


2013~2018年 国内システム/ネットワーク管理ソフトウェア市場 売上額予測

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