求む女性起業家--波瀾万丈の人生とやりがいを聞く - (page 3)

末岡洋子

2014-08-09 08:00

「男か女かではなく起業に向くか向かないか」--エメラルド倶楽部の菅原氏


株式会社NATULUCK 代表取締役 菅原智美氏

 自身も起業家でありながら、女性の起業家や経営者のネットワーク作りに乗り出したのが菅原智美氏だ。「女性経営者が集まってともに勉強できれば」と、貸し会議室ビジネスNUTULUCKを2007年に設立、その後エメラルド倶楽部という女性経営者の会の運営をはじめることにした。個人事業主、法人、年商1億円以上と3種類に分かれており会員数は700人を超えた。今年は「女性向けのちゃんとしたビジネス紙がない」と思い、「CEO女性社長情報」を創刊した。

 菅原氏の持論は「女性経営者が増えると日本経済は活性化する」だ。「消費を握っているのは女性。直感力のある女性が活躍することで経済によい影響がでる」と考えるからだ。

 多くの女性起業家をみてきた菅原氏に、日本の状況を分析してもらった。

--起業して成功するタイプは?

 うわさ好きとか嫉妬深いなどの性質が少なく、何事にもプラス思考で明るい人。素直さがあって一生懸命な人には、応援する人が自然と周囲に集まるからうまくいく。これは、性別というよりは、成功する人に共通する特徴かもしれない。

 もう1つ、一点集中で足元を固めて……というアドバイスをよく聞くが、1つのことに集中している人が必ずしも成功しているわけではない。会社を5つも持っているなど、いろんなことに手を出して成功しているケースも多い。

--年齢は関係あるか?

 年齢は関係ないし、学歴も関係ないと思う。逆に勉強ばかりで頭でっかちで、なかなか起業できないという人も見てきた。まず起業して、その後勉強しながら進んでいくという人の方が、どちらかというとうまくいくようにみえる。

--学生で起業を考える人も増えている。米国などのように、起業やビジネスについての知識を教育の段階でもっと教える必要があるか?

 学生時代から起業を考えるのは、とてもいいことだと思う。がんばってほしい。また、教育でもっと取り込んでほしい。海外との違いという点では、海外では失敗してもやり直せるという雰囲気があることも大きいと思う。日本では破産したら一生だめとレッテルを貼られる。

--安倍政権が「女性が輝く日本へ」として女性活用を打ち出している。女性の就労人口全体を増やしていく必要があるが、政治ができることは何か?

 (女性活用のための政策は)良いことだと思う。だがおかしな制度もあるように見える。商工会の運営に億単位の予算がついているが、これから起業しようという人をまず支援すべきではないかと感じる。たとえば、韓国では政府の調達のうち一定比率は女性起業家から購入しなければならないというルールがあると聞いている。このように(言葉ではなく)形としてバックアップしていることはすごいし、日本でも期待したい。

 女性の雇用を増やすという点で、女性起業家は女性を社員として雇用する傾向が強く女性の活躍につながると思う。エメラルド倶楽部の会員企業では、子連れ出勤をOKにするなど労働環境の改善に前向きだ。

--Dellのレポートに、日本の女性は環境として恵まれているのに、リスクをとりたがらないとの分析がある。

 問題は、見本となる女性経営者が少ないこと。ただ、メディアの関心はここ数年で高くなっており、エメラルド倶楽部への取材も増えている。少しずつ変わっていくと期待したい。社会も関係ある。地方などではいまだに女性が働くことへの偏見があり、やる気がある人ががんばれない環境にある人もいる。

--日本で根強い専業主婦志向は関係ある? そもそも働くという選択肢を考慮しない女性が多いようにみえる。

 周囲に働いているかっこいい女性がいないのかもしれない。大変そうというイメージしかないのかも。やはりロールモデルが必要だと思う。憧れる女性像があれば、家にじっとしていることを選ばないかもしれない。

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