プラットフォームレイヤは、IoTサービススタックの中でデバイス、ネットワーク、アプリケーションを管理、運用を実現するためのものであり、大きく3つのタイプに分割される。1つは「Device-Enablement Platform」で、主にIoTのシステム/デバイスのアクティベーション、認証、診断、最適化、配備などを実行するプラットフォームである。
2番目は「Network-Enablement Platform」で、主にIoTのネットワークにおける接続認証、通信課金管理、接続履歴管理、接続ロケーション管理、国際ローミング管理、ネットワークセキュリティ管理などのプラットフォームである。
3番目は「Application-Enablement Platform」で、IoT向けに利用されるアプリケーションのうち、特に垂直市場向けのアプリケーションに対し、開発環境の提供、既存の業務アプリケーションとの連携、アナリティクス向けの最適化などのプラットフォームである。
これらの3つがプラットフォームレイヤ内で計上されており、その多くはIoTに特化して構築/運用されているプラットフォームとなっている。加えてこうしたプラットフォームで利用されるサーバ、ストレージといったハードウェアの市場が含まれる。またアプリケーションサーバソフトウェアプラットフォーム/トランザクション処理モニタといった機能を司るアプリケーションサーバミドルウェアや、アプリケーション開発ソフトウェアといった市場の一部がこの中に含まれる。
アナリティクスレイヤは、IoTサービススタックの中で、モノが収集したデータを蓄積、分析し、上位のアプリケーションレイヤと連携し合理的なアクションへとつなげるための市場を表している。IDCでは、このレイヤをIoT用途に特化した組み込みシステムなどを構成する市場と、汎用タイプのサーバ、ストレージ、パッケージソフトウェアによって構成される市場の2タイプに分類しており、両者の合計を アナリティクスレイヤと定義している。その中で特に後者の市場については、IDCの算出する国内の「ビジネスアナリティクス(BA)市場」をベースにしている。
BA市場は3つの市場からなる。1番目の市場はBAを実装する際に必要となるサーバ、ストレージ、ネットワーク、IaaSなどのハードウェア主体の「インフラストラクチャ市場」である。2番目の市場は企業がIT基盤にBAを実装するに当たり必要となるパッケージソフトウェア、それらを導入する際に必要となるデータベース管理ソフトウェアやアプリケーションサーバといったミドルウェアなどの「ソフトウェア市場」である。
そして3番目の市場は企業がIT基盤にBAを実装するに当たり必要となるプロジェクトベース、ITアウトソーシング、サポート&トレーニングなどの「ITサービス市場」である。
IDCではこれらの3つの市場のうち、1番目の「インフラストラクチャ市場」と2番目の「ソフトウェア市場」の合計の中からIoTに該当する部分を利用されるデータトラフィックの比率によって算出しアナリティクスレイヤの市場に含めている。また3番目の「ITサービス市場」のうちIoTに該当する部分をプロフェッショナルサービスとして市場規模に計上している。
アプリケーションレイヤは、IoTサービススタックの中でアナリティクスレイヤとも連携しながら、データ分析結果をもとに特定のアクションにつなげるための垂直市場向けアプリケーションを中心とした市場である。加えて、垂直市場に特化したものだけでなく、ロジスティクスや生産計画などを司るSCMアプリケーション、マーケティングやカスタマーサービスなどを司るCRMアプリケーションなどのうち、IoT向けの垂直市場アプリケーションと連携している部分の市場も含めている。
プロフェッショナルサービスには、IoT向けに提供されるコンサルティングサービスやSIサービスなどが含まれる。IDCでは国内のITサービス市場を毎年算出しており、そのうちの一部も含まれる。
IoTのサービススタックには、プロフェッショナルサービスやセキュリティといった市場が上記の5つのレイヤそれぞれに対して密接に関わっており、IDCではそうした市場もIoT市場の一部として計上している。