情報通信技術の新たな使い方

聞き慣れない言葉--「情報薬」の効果 - (page 3)

菊地泰敏(ローランド・ベルガー)

2015-01-27 07:30


 また、薬剤の結晶構造を解析するためにもテラヘルツ波は有効である。体内における溶解性の違いなどにより、同じ分子であっても、その分子間のつながりが異なる結晶では薬効に違いがあるからである。

 現時点では、研究段階ではあるものの、電磁波の研究が医療や医薬品の開発に応用されるというのはなかなか興味深いのではなかろうか。

 今回紹介した情報薬もテラヘルツ技術の利用も、究極の目標は特定の個人向けに、真にパーソナライズされた医療・医薬を提供することである。さらに、一歩進んで診断の結果、治療以前に予防に効果を発揮することが究極の目的であろう。

 それにより、健康に長寿を全うできるとすれば科学技術の発展が人類の幸福に寄与すると素直に喜べるのであるが、高齢社会に拍車がかかるというジレンマに苛まれる可能性も秘めているといっては悲観的に過ぎるであろうか。

菊地 泰敏
ローランド・ベルガー パートナー
大阪大学基礎工学部情報工学科卒業、同大学院修士課程修了 東京工業大学MOT(技術経営修士)。国際デジタル通信株式会社、米国系戦略コンサルティング・ファームを経て、ローランド・ベルガーに参画。通信、電機、IT、電力および製薬業界を中心に、事業戦略立案、新規事業開発、商品・サービス開発、研究開発マネジメント、業務プロセス設計、組織構造改革に豊富な経験を持つ。また、多くのM&AやPMIプロジェクトを推進。グロービス経営大学院客員准教授(マーケティング・経営戦略基礎およびオペレーション戦略を担当)

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