データで見る「iOS」と「Android」のモバイル戦争--勝利は誰の手に? - (page 3)

Matt Asay (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2015-03-06 06:30

アプリストアの先にあるものへ

 これはアプリストアが袋小路に向かっているという主張ではない。筆者は、開発者がアプリの開発や販売に集中するという考え方は必ずしも正しいモデルではないと主張しているのであり、現実的にAppleやGoogleは言うに及ばず、開発者にとってもアプリストアは大きなビジネスであり続けている。

 しかし、開発者にとってアプリストアが最良の収益モデルであるとは限らない。少なくとも、モバイル開発に「すべてを賭ける」つもりがない開発者にとってはそうではない。

 VisionMobileは以下の点を強調している。

 「収益を得たいと考えている開発者(つまり純粋な娯楽や学習が目的の開発者は除く)の17%は、1ドルも収益を上げていない。彼らの大半はフルタイムの職業ではなく、副業としてお金を儲けようとし、そして失敗している」

 彼らは少数派ではない。1ドルも収益を上げていない開発者が17%いるだけでなく、月あたり100ドル未満の収益しか上げていない開発者は18%、月あたり1000ドル未満の収益を上げている開発者は17%いる。つまり開発者の52%はそれだけでは生活できない状況だと言える。しかし、より良い道があるのだ。

 「さらに多くのiOSアプリを開発する」という必然性はない。同レポートによると、iOSに軸足を置く開発者のうち、月あたり5000ドル以上の収益を上げているのは39%、貧困ラインとも言える月あたり500ドル未満の収益しか上げていないのは37%となっている。一方、Android開発者は厳しい生活を強いられているようであり、月あたり500ドル未満の収益しか上げていないのは55%であり、月あたり5000ドル以上の収益を上げているのは19%となっている。

 モバイル機器向けのウェブ開発に軸足を置く開発者ですら、Androidに軸足を置く開発者よりも収益を上げており、貧困ラインを下回っているのは47%、月あたり5000ドル以上の収益を上げているのは29%となっている。

 こういったデータ自体は興味深いものの、市場が歩んできた過去を反映しているだけであり、その進んでいく方向を指し示しているわけではない。VisionMobileのレポートが明らかにしているように、この初期のモバイル収益モデルはアプリの販売を目的としていた一方で、次なる波はすべてモバイル機器によるEコマースとなっている(図C)。


図C:2015年にはモバイル機器によるEコマースが主流となる

 この市場の規模の大きさにもかかわらず、図Cで示されているように、モバイル機器によるEコマースに舵を切っている開発者はたった9%しかいない。この状況は変わるはずだ。無視するにはあまりにも大きな市場なのだ。「顧客獲得に大金を投じることになるとしても、[モバイル機器によるEコマースという]この収益モデルは他のどのモデルよりも大きな利益を生み出すのだ」という。

 一方、Appleの「App Store」での販売は、ほとんど販売ゲームの様相を呈している。売り上げの30%をAppleに引き渡す必要があるだけでなく、ユーザーを獲得するための広告費としてさらに30%程度が必要となる(またFiksuのデータによると、ユーザーの引き留めには1ユーザーあたり2.16ドルが必要になるという)。

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