ただ、Dr.SumやMotionBoardをさらに広めていくために今後、同社の課題となるのはグローバル展開である。この点を会見の質疑応答で聞いたところ、内野氏は次のように答えた。
「グローバル展開では、進出した限りは高いシェアを獲得できるようにしたい。中国では少しずつ実績を上げつつあるが、今後は中国をはじめとしたアジア地域にフォーカスを当てて、積極的に展開していきたい」
果たしてこの“国産BIツール”がグローバルに大きく羽ばたくか、注目しておきたい。
「PivotalはEMCグループの中で最も速い成長を継続している」 (Pivotalジャパン 正井拓己 カントリー・マネージャー)
Pivotalジャパンの正井拓己 カントリー・マネージャー
Pivotalジャパンが先ごろ、今後の事業戦略について記者説明会を開いた。2013年4月に設立された米Pivotalは米EMCのグループ会社で、同じEMCグループの米VMware、および米General Electric(GE)などの出資も受けている。正井氏の冒頭の発言は、Pivotalの急成長ぶりを示したものである。
Pivotalは当初、ビッグデータ活用の基盤となるソフトウェアで注目を集めたが、事業領域としてはこのほかに、クラウド分野におけるPaaS構築ソフトウェア、アジャイル手法を軸としたアプリケーション開発を推進している。いずれもオープンソース化を図っているのが特徴だ。同社の製品を導入している法人顧客数は現時点で1200社を超えているという。
正井氏は2014年の同社の活動として、クラウド分野では、オープンソース版「Cloud Foundry」の推進団体である「Cloud Foundry Foundation」を設立。また、商用版の「Pivotal Cloud Foundry」を出荷し、導入実績が順調に上がっていると説明。ビッグデータ分野では、関連製品の売上高が1億ドルを超えるとともに、総合ビッグデータ基盤となる「Pivotal Big Data Suite」の出荷が売り上げ増加に寄与していることを挙げた。
同製品については今回の会見で、日本市場向けにも投入することを発表した。さらにアジャイル開発では、エンタープライズクラスの導入が加速していることを明らかにした。
今後の事業戦略をはじめとした今回の会見の詳細な内容は関連記事を参照いただくとして、ここではEMCグループのクラウド事業におけるPivotalの役割や連携体制について、会見後に正井氏から話を聞くことができたので記しておきたい。
筆者がこの点を質問したのは、EMCグループとしてのクラウド事業がまとまっていないように感じられるからだ。正井氏は次のように答えた。
「EMCグループのクラウド事業という観点で言うと、クラウド基盤の推進に向けてはVMwareとPivotalが密接に連携している。また、よりインフラ部分ではEMCとVMware、ビッグデータ領域ではEMCとPivotalがぞれぞれ密接に連携している。こうした形が外部からするとまとまっていないように見えるかもしれないが、とくに今年に入ってからは、EMCが軸となってこれらの動きを統合していこうという流れになってきている。時期が来れば、それが製品やサービスとして明確になってくるので期待していただきたい」
さて、どのような統合ソリューションが出てくるか。ユニークな企業グループだけに、そのプロセスにも注目しておきたい。