苦痛を和らげるという次のタスクは、さらに困難なことになる場合がある。ユーザーは、自分がビッグデータアナリティクスプロジェクトに費やした時間の分だけ高い期待を抱いており、自分が注いだ努力に対してすぐに見返りを得ることを期待している。このような見返りは、実用的なアナリティクスや、使いやすいエンドユーザー向けツールという形でもたらされなければならない。IT部門はこれまで、ユーザーにとってのアプリの使い勝手の良さという点では、十分な働きができていない。アナリティクスのダッシュボードやドリルダウンではこうした使いやすさは実現できないのである。
使いやすいツールがあると、作業よりも人間優先であることが多い、社内での採用のプロセスが容易になる。既に確立された業務ワークフローにビジネスアナリティクスのツールや機能を組み入れるためには、ユーザー自身が変わるということを納得してもらう必要がある。ユーザーには、使い慣れたスプレッドシートやレポートがある。さらにユーザーはこうしたレポートの欠点に対処する「回避方法」まで考え出している。使いにくい部分についてよく知っているからだ。こうした要素はすべて、ユーザーが業務上の変更に抵抗する可能性につながるため、アナリティクスのビジネス価値には、データの平等性や価値、そして使いやすさという点で、説得力がなければならない。
最後に、ビッグデータアナリティクスは、継続的に向上するという姿勢と要求をもって実施する必要がある。人は誰でも安堵のため息をついて「プロジェクトが終わって良かった」と自分に言い聞かせ、次のプロジェクトに進みたくなるものだが、そのプロジェクトは本当に終わりだろうか。システムは稼働し始めるとすぐに、ソフトウェアの新たな機能強化が求められる。アナリティクスも同じだ。
IBMやそのほかの企業が忠告しているのは、アナリティクスを活用し続けるためには、それを完成したプロジェクトとして扱ってはならないということだ。IT部門とユーザーがアナリティクスの改善についての会話を続けていくために、フィードバックメカニズムを作り上げて、新たな改善点を継続的に追加していくべきである。
これは達成できるのか
達成できる。ただし、ビッグデータの「とりまとめ役」としてのIT部門が、ビッグデータとアナリティクスの技術管理面だけでなく、人に対しても同じだけの時間を割くことが条件である。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。