個人の創造性を生かす
エジンバラの研究開発部門では、2週間に1日、スタッフが好きなプロジェクトに取り組む日を設けており、この日は「アナーキーフライデー」と呼ばれている。
プロジェクトは自分の能力向上でもよいし、長年温めてきた計画でもよいし、自分が参加しているチームに役立つ活動をしてもいい。
「多くのスタッフは、自分のチームのために何かをすることを選んでおり、特に優れた発明は、アナーキーフライデーから生まれている」とSmith氏は述べている。
おそらくこの仕組みは、シリコンバレーのIT企業では一般的なもので、特に有名なのはGoogleだ。同社では、この仕組みが「Googleニュース」や「Gmail」、「AdSense」などの誕生に繋がっている。
しかし最近では、Googleでどれだけのスタッフがこの個人的な時間を活用しているかについて、疑問が投げかけられている。
ハッカソンを開催する
Amazonは、テーマを決めてプログラマーが短時間の間にアプリケーションを作るハッカソンを定期的に開催しており、その期間は通常2日以内だ。
これらのハッカソンは社内でも、社外の大学でも開催される。
「参加者はいろいろなものを発明し、賞も用意されている。『参加者が選ぶ賞』は、参加者の投票で決まる。ハッカソンからも、いくつか素晴らしいアイデアが生まれている」(Smith氏)
データこそが重要
エジンバラの施設の屋上庭園からは、哲学者デビッド・ヒュームが眠る地であるオールドカールトン墓地が見える。
Smith氏は18世紀にヒュームが主張した経験論と、Amazonがサービスの設計に用いているデータを使用したアプローチとの間の結びつきについて語った。
「経験論は科学的手法の基礎であり、その考え方は、厳格な測定と実験、そして測定の繰り返しだ。これはAmazonにとって非常に重要なことで、ここに訪問者を迎えたときには、いつもこの結びつきについて話すことにしている」(Smith氏)
Amazonはあらゆるものをテストすることを重視している点でも、Googleと似ている。Googleは、雇用から設計に至るまで、あらゆる情報を伝える際にデータを利用している。検索ページの広告で使うリンクの色を選択する際にも、Googleはさまざまな色調の青色をユーザーに向けて表示し、どれが最も多くクリックされたかを測定した。
しかし、このAmazonの華麗な仕事の進め方の話も、企業運営のやり方に対する批判と合わせて評価されるべきだろう。New York Timesは2015年に、現在および過去のAmazon従業員にインタビューを行い、同社が効率と生産性を追求するため、従業員を限界まで追いやっているという内容の記事を掲載した。AmazonのCEOであり創設者のJeff Bezos氏は、後にそれらの主張に対して反論している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。