座談会@ZDNet

AWSに負けずに新規事業を成功させる方法--次世代SIer座談会(3) - (page 3)

山田竜司 (編集部) 小船井健一郎

2017-02-10 07:00

 林氏:われわれでパブリッククラウドのクラウド・エヌを立ち上げた時、実は私が本部発令第1号だったんです。それは、かなりベンチャー的な動きでしたね。これは自分で手を挙げたのではなく、「タスクフォースを立ち上げて、その第1号というかたちでやれ」と言われて進めました。最初に机を見たら誰もいなくて、1カ月ぐらいは僕1人。それから兼務の人が2~30人増えていった。週2回、朝7時半に集まって打ち合わせをして、どう立ち上げるのか考える。みんな本部を持ってたので、朝集まって2~3時間議論する。それでもクラウド・エヌはうまく立ち上がったんですよね。


NTTコミュニケーションズ エバンジェリスト 林雅之氏

 これだと普通は失敗しそうだけど、CloudStackのコミュニティをつくったのが良かったのでしょうね。われわれの会社は普通、開発・運用にチームが分かれてるんですが、これらのセクションを全部一緒にしました。それでどんどん立ち上げて、アジャイル的に開発した。あと、プロモートを営業に頼まないようにしました。今までは絶対に営業を経由してプロモートしていたんですが、クラウド・エヌの場合はインバウンドで取りに行く。これはどちらかというとベンチャー的にやったんですが、組織が大きくなり、細分化されていくとともにスピード感が鈍ってしまった。

 あと最近はIoT推進室を立ち上げたり、AIタスクフォースを立ち上げたりしています。IoT推進室では数十人ぐらい人を増やしていって、製造業などの案件を取り始めています。これは当初、経営企画部に立ち上げるつもりでした。私もクラウド・エヌを立ち上げた時、経営企画部で1年間やって事業化できたところで、プロダクト事業に落とし込めるような仕組みを作り上げたのです。IoT推進室も立ち上がってから1年経とうとしているので、そこから収支がどうなるかが問われています。

 重要なのは内製化の動きです。NTTコミュニケーションズは、クラウド系はほとんど内製です。今までは外に委託していたのを内製化したことで、開発にスピード感が出てきました。あとオープンソース系のOpenStackとCloudStackを使うと、自分たちのいいところだけ出てくる。社内のシステムとしてオープンソースをベースに使うと、開発のスピード感が出てきます。内製化してオープンソースを使いマイクロサービスアーキテクチャで構想する。そうすることでかなり失敗が減ってきた。大きい会社なりにいろいろとあるんですが、ベンチャー的な動きをやったりしてますね。

 小野氏:開発の内製化を進めるだけでなく、営業を通さなくても済むようにする。チームをひとつにするというのはすごく大事だと思うんですけど、それは誰がどう判断したんですか。

 林氏:最初はAWSの対抗というかたちでやっていくという明確な目的があったんです。それに対抗してオープンで行こうと、みんなで議論をして、方針を決めました。「AWSに勝つためにどうすればいいか」ということを議論して、営業でなくても売れるモデルをやっていこうと決めたというかんじです。

 メンバーは各事業部からアンテナの高い社員を集めて、かなりベンチャー的に議論しました。事実上、社内ベンチャーみたいな感じです。ただ逆に言うと、営業を経由しないでやるサービスだったので営業が売らなかったり、ちょっと肩身が狭かったこともありますね。

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