日立製作所みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)、みずほ銀行は9月21日、サプライチェーン分野へのブロックチェーン技術の実用化を目的にした共同実験に着手すると発表した。将来的にサプライチェーンファイナンスの実現も視野に入れる。
日立によれば、資材の海外調達業務では拠点や業務ごとの受発注、納期に関する情報管理が複雑で、発注登録や注文書と請求書の照合・相互承認など、総合的なコスト管理に時間を要すると課題がある。そこで調達業務にブロックチェーン技術を適用し、拠点や業務間で受注・入金データを共有することで、サプライチェーン全体の状況把握が可能になるほか、部品供給元などに関する情報を記録して、信頼性の高いトレーサビリティ管理の実現が期待されるという。
実証実験は日立グループのサプライチェーンの一部を対象に、10月から行う。ブロックチェーン技術を用い、グローバルで資材調達が必要な装置や部品などのサプライチェーンを統合的に管理するアプリケーションのプロトタイプを日立のIoTプラットフォーム「Lumada」に構築する。複数のアジア拠点における受注・入金データや部品に関する情報などの統合管理効果を評価・検証していく。
日立側は調達や在庫管理の業務効率の向上と負荷の軽減、受発注に関する意思決定の迅速化などの効果を見込む。みずほ側は、受発注情報に応じた迅速な決済や融資の提供が可能となるなど、企業側の受発注システムと銀行サービスをシームレスに連携させることで、サプライチェーンファイナンスへの応用を期待している。また、受発注情報や決済履歴などのビッグデータを活用した新たな事業機会の創出も見込んでいる。